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休み時間に先生と3人の中学生が廊下で話をしています。
先生が「今日は暑いなあ。しかし、アリたちはよく働くなあ。あそこを見てごらん。」
3人も窓の外を見て「本当だ。」…。
「ところで、もし自分がアリの大きさになったとしたらどう思う?」と先生が突然そんなことを言い出しました。
A君が「嫌だよ。あんなに小さかったら、学校まで来るのに1日かかっちゃうよ。」
B君は「うーん、ちょっと考えさせて!」
C君は「僕は、自分だけじゃななく、みんながみんなアリの大きさになったら、今と変わらないと思います。
かえって、家などもコンパクトになって、食べ物もごはん一粒で一日過ごせるかもしれませんし。」
B君が「そうそう、俺もそう思うなあ。うまく考えがまとまらなかったけど、C君と同じ。」
A君も「自分だけ小さくなると思って答えたけど、みんな同じように小さくなれば同じだものな。C君の考えと同じです。」
すると先生が「そうか。みんながアリの大きさになれば同じだよね。今の私たちだって、視点をずらしてあの空の上から見たら、アリの大きさでしかないからね。C君が言っていたように、小さいと食料や資源が少なくて済むということ。
昔々、地球が冷えて寒冷期を迎えた時、大型の恐竜とか食料不足で倒れて行ったけど、小型の動物やゴキブリなどの昆虫は少ない食料で生きられるから生き残って来たんだよね。」
B君が「先生、人間の数はどんどん増えているし、食糧危機がやがてやってくると言われていますよね。極端な話だけど、人間を小さくすれば解決しますよね。」
A君が「そんなことどうやってできるんだよ?」
「だから、極端な話と言っただろ?」とB君。
C君が「食糧危機を解決する方法として色々考えられてるよ。例えば、人を小型化する、数を減らす、飽食をやめ食事量を少なくする、昆虫を食料にする、食料を増産する…。どれも今すぐ解決できないんじゃないかなあ。ねえ、先生?」
先生が「どれも今の自分たちの首を絞めるようなことだしね。人間を小型化するにしても、仮に、世界中のみんなが納得して取り組んでも何万年もかかるんじゃないのかなあ。食糧危機は人間に課せられた大きな難題だよ。」
A君が付け加えて「数を減らすと言ってもみんな戦争や病気は嫌だし、子どもを産むなというのも無理はあるしね。」
B君が「先生、アリたちは、俺たち人間をどう見てんでしょかね?『小型化もできない哀れな奴らだ』とでも思ってるんですかね。」
「まさか?それは、アリさんに直接聞いてみないと分からないなあ。」
キンコンカーン、ちょうどよくチャイムが鳴りました。
先生が「考えることは、自由だから、たまには今みたいなこと考えても面白いよね。さあ、授業に遅れるなよ。」
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