
「おとうさん、これ凄いね。」…
「どれどれ、ああ、マーライオンの写真かい。」
「えっ?お父さん知っているの?」
「これは有名でシンガポールのシンボルとされているんだよ。」
「でも、どうしてライオンなの?」
「うん、シンガポールはもともとはシンガプーラと言ってね、『シンガ』はライオンの意味で『プーラ』は町のことなんだよ。それがイギリスの植民地になり、英語読みでシンガポールとなったんだよ。だからライオンなんだよ。」
「そうなんだ。」…「マーメイドって人魚のことだけど、メイドをライオンに変えた英語だと言われているよ。」
「へえ、面白いね。」…
「ウチにも蛇がいるけど、分かるかいヒデちゃん?」
「えっ?蛇?どこ?どこ?気持ち悪いなあ。」
「台所にいるよ。」「台所?うそ?」
「いるというより、あるといった方が良いかな?」
「どこにあるの?」
「ひねると水が出てくるよ。」
「蛇口のこと?」
「ああ蛇口だよ。漢字で書くと蛇の口と書くんだよ。」

「でも、蛇には見えないけどなあ。」
「中国では水の守り神は龍とされていて、蛇口は『龍頭』とか『水龍頭』と呼んでいるんだよ。
明治時代に日本にこの蛇口が伝わって来た時、最初は龍の形をしていて『龍口タツクチ』と言っていたんだよ。
けど言いにくいので、龍のもとの生き物の蛇を当てたんだよ。その方が呼びやすいから今もそれを使っているんだよ。
つまり蛇口は水の守り神の龍の口から水を出しているってことなんだよ。」
「そうなんだ。蛇というより龍の口ということか。」
「そういうことだ。ちなみにイギリスやイタリアなどのヨーロッパでは水の守り神はライオン(獅子)なんだよ。」…
「じゃあ、お父さん。英語で蛇口はなんと言うの?」
「うん、アメリカではfaucet(ファーセット)、イギリスではtap(タップ)と言ってるみたいだね。」
「ライオンとは関係ない名前だね。」
「うん、他にも日本で銭湯などでは『カラン』と言っているけど、あれはオランダ語で『鶴』という意味なんだって。蛇口の形が鶴に見えるかららしいよ。」

「そうなんだ。でも僕はやっぱり水の守り神の龍から来ている蛇口の方がいいなあ。」
「そうか、ヒデちゃん少しお金を貯めて、シンガポールに行ってみようか?」
「わーっ!行きたい!でも、お母さんの一緒だよ。」
「もちろんだよ。…ヒデちゃん、少しシンガポールについて調べておいたら?」
「うん!」

※龍頭(リュウズまたはリューズ)は今も日本語の中に残っていました。腕時計のネジを巻く所をリューズと言っています。自動巻き腕時計に対して手動で巻くものをリューズ巻きの腕時計と言っていますね。
※また、蛙口はないけれど、ガマグチというのはありますね。良かったね。カエル君。
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