「師範、この字は、何と読むんですか?」
「ああ、免状のこの字かい?」
「はい、『式』に似ているこの字『弐段』です。」
「ニダンだよ。」
「普通の数字の2段とか漢数字の二段とかだったら簡単に読めるのに、どうしてこんな字を使うのですか?」
「武道は、昔からあるものだから漢数字を使うんだよ。だけど、二段の『二』はちょっと筆を加えたら『三』、『四』、『五』に変えられるだろう。」
「ああ、本当ですね。」
「だから、重要書類や領収書、祝儀袋など、金額の数字の書き換えを防ぐ為に旧字体が使われているんだよ。大字(だいじ)ともいうけどね。」
「そうなんですか。
じゃあ、今日もらったこの免状は、大事なものということなんですね?」
「そういうことだな。
君がこの空手の流派で弐段の実力があるって、しっかり認められたんだよ。
…今日の君の型も良かったぞ。」
「ありがとうございます。
…師範、ついでですから、1から10まで大字で教えてもらっていいですか?」
「ちょっと待って、今、スマフォを持ってくるから。」…。
「ほら、これだよ。漢数字の『一、二、三、四、五、六、七、八、九、十』は『壱、弐、参、肆、伍、陸、漆、捌、玖、拾』他には、佰(ひゃく)、阡(せん)、萬(まん)』と書くんだよ。」
「読み方は?」
「普通にイチ、ニ…ジウで良いんだよ。」
「大事なものは、大字で書くんですね?」
「そう覚えてもいいけど…。」
「今度、木のサイコロに大字で書いてみようかな?」
「そうだな。使えばすぐに覚えるよ。」
「はい。」
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