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パナシ

193,雑用は

 同じ高校の先輩、後輩らしき二人が飲んでいる。

「お疲れ!お前もやっと二十歳過ぎて、飲めるようになったか。」

「はい」

「どうだ?今の会社は?」

「まあまあですね。」

「そうか。ボーナスはもらったのか?」

「はい、仕事も少しずつ覚えてきたし…」

「今は、とにかく仕事を早く覚えることだな。」

「はい」

「でもなあ。仕事を覚えるよりもっと大事なことがあるけど、
お前は、みんなにかわいがられそうだから大丈夫かな。」

「なんですか?」

「それはな、人間関係なんだよ。
それは誰も教えてくれないからなあ。」

「そうなんですか。」

「仕事ができても人間関係の下手な人は認められないし、
仕事があまりできなくても人間関係のうまい人は出世するんだよ。

今の会社にも、そんな人いないか、すごく癖のある人、自分で責任を取らない人、えばり散らす人…」

「いますよ。声を掛けにくくって…同い年くらいなら、はっきり言えるんですけど…みんな年上だし…」

「そういうのを反面教師にするんだよ。『人の振り見て我が振り直せ』って昔から言われているけど、それを本当にわかっている人少ないからなあ。」

「『人の振り見て我が振り直せ』ですか…」

「今、雑用が多いだろう?」

「一番下だからしょうがないですけどね。」

「雑用は、誰がやってもいい仕事だから、積極的に自分からやるんだよ。

ずっと雑用をさせられるってことはないし、第一、言われてやるのもしゃくだしな。
気づかない人は、雑用もできないからなあ。
上はその姿をよく見ているよ。」

「そうなんですか?」

「見られているからやるんじゃなくて、見られていなくともやるんだよ。

それが周りから信頼される自分を作るんだよ。」

「そうですね。」

「ところで、会社の上部は前向きなのか?そうじゃないと悲劇だからなあ。
ビジョンのない会社は、海の上を漂っている船と同じだからなあ。」

「社長は、会社をもっと大きくして、海外にも進出したいと思ってますね。
社会貢献とかも良く言ってますよ。」

「そりゃあ、いい会社かもな。よかったな。そしたら、お前、英語は、ちょっとはできるだろう?
それに加えて、中国語をラジオ講座でも利用して毎日15分頑張ったらどうだ。」

「いま、そこまでの余裕はないですね。」

「そうか。まあ、これからは、中国語も必要ってのを頭に入れて置いた方が良いぞ。」

「はい、」

「じゃあ、とりあえず、しっかり仕事を覚えるんだな。

早く覚えるコツは、聞き流しじゃ駄目だぞ。『誰かに教えるつもり』で、或いはもっと大きく『自分が会社を作るつもりで』、そしたらしっかりメモも取るくらい真剣になるだろうからな。」

「さすが先輩、良いこと言ってくれますね。」

「今日は、俺のおごりだ。じゃんじゃん飲めよ。」

「ありがとうございます。」

「何年かしたら、今度は、お前が後輩を連れて来るんだろうなあ。」

「はい、たぶん…」

※素直に話を聞く後輩に、上機嫌な先輩でした。

雑用は任せてくださいな。今日はカタツムリの死骸の処理してます(シデ虫)


作成者: パナシ

雑学大好き、何でもやりっぱなしが多い。

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