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同じ高校の先輩、後輩らしき二人が飲んでいる。
「お疲れ!お前もやっと二十歳過ぎて、飲めるようになったか。」
「はい」
「どうだ?今の会社は?」
「まあまあですね。」
「そうか。ボーナスはもらったのか?」
「はい、仕事も少しずつ覚えてきたし…」
「今は、とにかく仕事を早く覚えることだな。」
「はい」
「でもなあ。仕事を覚えるよりもっと大事なことがあるけど、
お前は、みんなにかわいがられそうだから大丈夫かな。」
「なんですか?」
「それはな、人間関係なんだよ。
それは誰も教えてくれないからなあ。」
「そうなんですか。」
「仕事ができても人間関係の下手な人は認められないし、
仕事があまりできなくても人間関係のうまい人は出世するんだよ。
今の会社にも、そんな人いないか、すごく癖のある人、自分で責任を取らない人、えばり散らす人…」
「いますよ。声を掛けにくくって…同い年くらいなら、はっきり言えるんですけど…みんな年上だし…」
「そういうのを反面教師にするんだよ。『人の振り見て我が振り直せ』って昔から言われているけど、それを本当にわかっている人少ないからなあ。」
「『人の振り見て我が振り直せ』ですか…」
「今、雑用が多いだろう?」
「一番下だからしょうがないですけどね。」
「雑用は、誰がやってもいい仕事だから、積極的に自分からやるんだよ。
ずっと雑用をさせられるってことはないし、第一、言われてやるのもしゃくだしな。
気づかない人は、雑用もできないからなあ。
上はその姿をよく見ているよ。」
「そうなんですか?」
「見られているからやるんじゃなくて、見られていなくともやるんだよ。
それが周りから信頼される自分を作るんだよ。」
「そうですね。」
「ところで、会社の上部は前向きなのか?そうじゃないと悲劇だからなあ。
ビジョンのない会社は、海の上を漂っている船と同じだからなあ。」
「社長は、会社をもっと大きくして、海外にも進出したいと思ってますね。
社会貢献とかも良く言ってますよ。」
「そりゃあ、いい会社かもな。よかったな。そしたら、お前、英語は、ちょっとはできるだろう?
それに加えて、中国語をラジオ講座でも利用して毎日15分頑張ったらどうだ。」
「いま、そこまでの余裕はないですね。」
「そうか。まあ、これからは、中国語も必要ってのを頭に入れて置いた方が良いぞ。」
「はい、」
「じゃあ、とりあえず、しっかり仕事を覚えるんだな。
早く覚えるコツは、聞き流しじゃ駄目だぞ。『誰かに教えるつもり』で、或いはもっと大きく『自分が会社を作るつもりで』、そしたらしっかりメモも取るくらい真剣になるだろうからな。」
「さすが先輩、良いこと言ってくれますね。」
「今日は、俺のおごりだ。じゃんじゃん飲めよ。」
「ありがとうございます。」
「何年かしたら、今度は、お前が後輩を連れて来るんだろうなあ。」
「はい、たぶん…」
※素直に話を聞く後輩に、上機嫌な先輩でした。
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