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344,暴れ川

「お父さん、坂東太郎って、どんな人なの?」

「どうしたんだ?急に?」

「ぼく、今日の社会の時間に、ちょっとウトウトしちゃって、先生の話をよく聞いていなかったけど、友達に聞いたら『坂東太郎について調べてくるように!』って宿題があったんだよ。」

「で、ヒデちゃんは、どんな人だと思うんだい?」

「うん、坂東って言うから、…日本人だね、それに太郎と言うから、…男の子かなあ。」

「ぶふふ。そうか、そう思ってるんだ。」

「なぜ笑ったの?」

「そうか。」

「じゃあ、あのレストランみたいなお店の社長さん?」

「違うよ。
実は、河の名前をちょっと洒落(シャレ)て、言ってるんだよ。坂東太郎、筑紫次郎、四国三郎を日本の三大暴れ川と言っているんだよ。

坂東太郎は、すぐ近くの河だぞ。」

「大須賀川?」

「違うよ。もっと大きな河だよ。」

「分かった、利根川だ。」

「そう、その通り。
筑紫次郎が筑後川、四国三郎が吉野川何だよ。」

「なんか、兄弟みたいな名前だね。」

「よく氾濫し、規格の住民を泣かせてきた河だけど、そうやってみると、粋だよね。」

「ふーん。僕には良く分かんないけど。」

「前にも言ったかなあ、日本のある自動車工場を見学したとき、組み立ての機械1台1台に、花子、百恵、聖子などと名前が付いていて、『今日の花子は、ちょっと調子が悪い』とか、…
どの機械なのかすぐ分かるんだよ。」

「おもしろいね。機械も愛されて嬉しいんじゃないの?」

「そうかもしれないね。職場を和ませるのにも一役買っているんだろうなあ。」

「うん。」

「ヒデちゃん、宿題は、『三大暴れ河』で調べると、すぐ出て来ると思うよ。」

「ありがとう、お父さん。」

三大河とは、関東を流れる坂東太郎(ばんどうたろう=利根川)、九州の筑紫次郎(つくしじろう=筑後川)、四国の四国三郎(しこくさぶろう=吉野川)を指す。「日本三大暴れ川」のこと。長さや流域面積では、日本三大河川(信濃川、利根川、石狩川)がトップ3ですが、三大河は「暴れ川」が基準になっています。この呼び方は、江戸時代の記録にも残っています。

●坂東太郎・利根川
幹川流路延長:322km(2位)
流域面積:1万6842平方キロ(1位)
源流標高:標高1800m付近の三角雪渓末端(大水上山)
関係都道府県:群馬県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県
備考:信濃川、石狩川とともに日本三大河川
徳川家康の利根川東遷事業で流路が変更されています。


利根川 上越国境、群馬県利根郡みなかみ町の大水上山(おおみなかみやま/標高1834m、群馬県の北限)を源流に、茨城県(神栖市)と千葉県(銚子市)の県境で太平洋(鹿島灘)に流れ出る長大な河川が利根川(とねがわ)。幹川流路延長は322kmで、日本で2番

●筑紫次郎・筑後川
幹川流路延長:143km(21位) 流域面積:2863平方キロ(21位)
源流標高:瀬の本高原・標高890m地点(田の原川源流)
関係都道府県:熊本県、大分県、福岡県、佐賀県
備考:田の原川(たのはるがわ)、杖立川、大山川、三隈川、筑後川と名を変えるのが本流。


熊本県阿蘇郡南小国町、阿蘇山の外輪山、瀬の本高原を流れる田の原川を源流に、熊本・大分・福岡・佐賀の4県を流れて有明海に注ぐ九州一長大な河川が筑後川。幹川流路延長は143kmで、日本第21位、流域面積2863平方キロも日本第21位の河川です。

●四国三郎・吉野川
幹川流路延長:194km(12位)
流域面積:3750平方キロ(17位)
源流標高:瓶ヶ森・白猪谷(しらいだに)標高1200m地点
関係都道府県:高知県、徳島県


備考:渇水時と増水時の水量の差は利根川の4倍もある、日本一の暴れ川。高知県いの町の瓶ヶ森(かめがもり/標高1896.5m)・白猪谷を源流に、四国山地を横断し、徳島県徳島市で紀伊水道に注ぐ長大な河川が吉野川。幹川流路延長は194kmで、日本第12位、流域面積3750平方キロは日本第17位の河川です。

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343,死ぬこと以外は…

 太極拳のサークルで一緒の友達が、2本の松葉杖でやって来た。

「どうしたんだい?その格好は?またなんか悪さでもしたのか?」

「違うよ。そんなんじゃないよ。焦ってゴミ捨てに行ったらさ、カラスよけのネットがあるだろう?
あれに引っかかって、足首を思いっきり捻っちゃったんだよ。」

「そうなんだ。だけど、本当に痛たそうだな。」

「これでも少しは、痛みはなくなってきたんだ。いやあ、辛いね。無理に動こうとすると、違うところに負担が掛かって…」

すると、それを聞いていた先生が

「大事になさってくださいね。治るまでは、無理をしない。

中国では、『死ぬこと以外は、かすり傷』と私は、言われてきましたよ。」

「ええっ?そんな発想、日本人には、できませんよ。そうだよねえ?」

「先生、本当に痛たかったんですから…。でも、そう言われると、
『こんな怪我くらいには、負けられない』という気になりますね。」

「そうでしょう?言葉は、意識を強めたり、弱めたりしてくれるんですよ。
一度、口に出して言ってみなさい。」

「ああ。はい。『死ぬこと以外は、かすり傷』なるほど、私も使ってみたいと思います。
先生、力強い言葉をありがとうございます。完全に治るまで、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
しばらくは、皆さんの動きを観察して過ごします。」

「観察こそ、効果的な修行ですよ。決して焦らず、無理をしないでくださいね。」

 最近、海外の人と接する機会も増え、今までの発想と違う言葉に
「ぎょっ!」としたり「その表現、ぴったり!」「気持ちが強くなった!」「楽に考えられるようになった!」など多く聞くようになったと思います。

 蛇足ですが、
逆に、日本人の『いただきます』には、『食材になった命をいただきます』
『ごちそうさま』には、『食材の命に対して感謝の気持ちを表している』と知って、『食に対する考え方が変わった』、という海外の方がいることもよく聞きますが…。

 自分を元気づけてくれる言葉は、どの国の言葉でも、好いものですね。

 後で先生が『死ぬこと以外は、かすり傷』は、日本で作られた言葉だと教えてくれました。
諸説あって、箕輪厚介のマンガとか超覚寺というお寺に書いてあったとか、情報は、色々ありますが、大元は、分かりません。また、探してもあまり意味がありません。

それよりこの言葉を自分なりに肯定的に生かす方が善策ですね。

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342,蛇足


 昔、楚(そ)の国の神官が使用人たちにお酒を与えたものの、全員で分けるには、お酒の量が少ないということがありました。

そのときに、誰がお酒を飲むかを決めようとして、蛇の絵をはやく描く競争をおこないました。

素早く蛇を描き終えた人が「自分は、まだまだ蛇の足を描けるくらい余裕がある。」といって、余計なものを描き足してしまいました。

そのせいで、その絵は、蛇扱いされずに、お酒は2番目に正確に蛇を描いた人のものになってしまったという話です。

この話は、「蛇足」という言葉になって、今でも使われていますが、もともとは「画蛇添足」を略した言葉だといわれています。「画蛇添足」の読み方は「がだてんそく」です。
意味は無用で不必要なものをつけ足すことや、無用なものをつけ足したせいでしくじってしまうことを指します。

※この「蛇足」のお話は、周末の激動期を書いた『戦国策-斉策』の中の故事からきています。
『戦国策』とは、周から秦に至るまでの250年間の戦国時代に起こった歴史を国別にまとめた書物です。
 
 他にも「戦国策」には、郭隗(かくかい)による「隗(かい)より始めよ」などの話もあります。

 また、最近は、Uチューブで「アニメで漢文」など、日本でもおなじみの中国の故事成語を面白く解説したものも出てきています。
現代人にも役立つものが多数あります。

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341,急所


「また、こんな事件があったのか?ふーん。」

「どうしたの?お父さん?」

「うん、駅のホームで喧嘩があってね。その日は雨で、傘で刺された人が亡くなったんだってさ。」

「そうなんだ。」

「いいかい、ヒデちゃん、人の体の軸というか、真ん中は、みんな急所なんだよ。
そこは、上から攻めて来るものには、ある程度は、守れるようになっているけど、下から突き上げられたりしたら、とても弱いんだよ。」

「そうなの?」

「目、鼻、あご、喉、鳩尾(みぞおち)、臍、金的、太腿の内側…」

「ああ、本当だ。そうなんだ。なるほどね。」

「だから、傘のような細いものを棒で刺すように突いたら…、
例えば、喉を突こうとした時、外れても、顎、口、鼻、目のどこかの急所か穴に入ってしまうんだよ。
だから怖いんだよ。」

「ああ、。確かにそうだ。」

「しかも、お酒が入っていて、自分の手で直接刺すわけじゃないから、力が入っちゃうんだろうなあ。」

「ふーん。お父さん、この人たちも喧嘩するために駅のホームに行ったんじゃないから、『ごめん!』とか『すみません!』で避けられなかったのかなあ。」

「ヒデちゃんだったら、そうするかい?」

「僕は、喧嘩が好きじゃないから、きっと、すぐに謝っちゃうなあ。」

「そうだね、つまらんことは、『負けるが勝ち』でいいと思うよ。でも、譲れない大事なことは、時には喧嘩することも必要だけどね。」

「うん。」

「不審者に急に襲われたとき、傘を持っていたら、ぱっと広げて、何回も突くといいらしいよ。広げると相手に取られにくいし、突いても深く入らないから…」

「そうなんだ。」

「ヒデちゃん、ついでだから、以前に、こんな事件もあったんだよ。」

「何?」

「最近は、あまりないけど、暴走族のバイクの音がうるさいからと、道路にゴールテープのように横向きにロープを張ったんだよ。」

「危ないよね。お父さん。」

「そうなんだ。夜で視界も悪いし、ロープなんて見えない、それに、スピードも出ていたから、ロープがハンドルを持つ手に沿って、首に入って、一瞬でバイクから投げ出されて…即死。」

「恐ろしいなあ。」

「バイクを止めるつもりでやったんだろうけど、結果的には、殺人に…。」

「お父さん、自転車でも、きっとそうなるよね。首にロープが必ず行くよね。」

「そうだ。」

「僕、バイクに乗るのは、止めることにしたよ。」

「ああ、当分先の話だろうけどね、それが良いよ。」

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340,忘れ物ですよ

よく犬を散歩させている村人がいる。

この日も愛犬「シロ」を連れて近くの小川まで歩いて行った。

小さな水門に着くと、ペットボトルや缶コーヒーなどが捨ててあった。

時々、外国の人たちも車でここに来て釣りを楽しんでいることがある。

「何を釣ってんの?」
「釣れるかい?」
「頑張って!」
「どこから来たの?」…

こちらが挨拶すれば、向こうもにこやかに挨拶を返してくる。

「釣りをするのは良いけど、ゴミは、持ち帰って欲しいなあ。」と思ってフェンスを見ると、オレンジ色の釣り人用のジャンパーが掛けてあった。と言うより投げ捨ててあった。

「ペットボトルや缶と同じゴミだな。」…そう思って家に持ち帰って捨てた。

「まてよ、このジャンパーは、どうしようか?
そうだ!『忘れ物』として扱ってやろう。一回、洗ってやるか。」

洗濯機に入れて洗ってみると、泥汚れも取れて、綺麗な感じになった。
乾かして、きちんとたたんで、ビニール袋に入れて、メモを添えて、雨に濡れてもいいようにガムテープで封をした。

次の日の夕方、犬の散歩のついでに水門の雨に濡れない場所にテープで括りつけておいた。

メモには、『忘れ物です。洗濯してあります。
※もし、ゴミなら自分で処分してください。
少しでも、気持ちが届けばよいのだが…。

 旅行から帰ってきた女房が帰って来るなり
「あなた、洗濯機で何を洗ったの?」

理由を説明すると

「やめてよ!汚いわね。そんなもの、もう持ってこないで!」

手厳しい非難の声をこの日も背中で受け止める村人であった。

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339,四日よい


 

 お盆の季節がやって来た。毎日うだるような猛暑。風呂上がりのビールが美味い。

この家は、兄弟姉妹・親戚が多いので、実家の家長である長男は、お盆は、4~5日位は、家を空けられない。
兄弟姉妹・親戚家族が来るたびに、酒といつもよりちょっと豪華な料理で持て成す。

一日目は、楽しく会話も弾むが、つい飲み過ぎて、次の日が辛くなる。料理も飽きてしまう。
4日目になると、全く食欲もなくなってしまう。冷たい飲み物、果物…。

 テレビでは、高校野球。これも地元が早々と姿を消すと見る気も失せてしまう。

選手の名前が漢字で映し出されるも、フリガナがないので読むのが難しい。
アナウンサーが読み上げるのを聞き逃したら、こだわりのある読ませ方なのでもう読めない。「こんな読ませ方もあるのか。」と感心することもある。
日本人なのに、お互いの名前が読めないというのは、不幸な話だと思うが、これだけ自由に読ませている以上、もう打つ手はないだろう。

 民放にチャンネルを回すと、ごくごく飲むビールの映像に「あーっ!うまー!」と言う感動の声。
他局に回しても同じようなCM。

「やめてくれー!今の俺は、二日酔い、三日酔いで、こんなCM見たら、へドが出そうだ。ウーツ!オエー!匂いまで気持ちが悪く思える!」

いつもなら、「美味しそう!」と共感して飲めるビールもこの時期には、止めて欲しい。と個人的に思った。こってりした料理、お刺身、お寿司なども遠慮願いたい。

 そんなことを妹に行ったら「それは、アンちゃんの勝手な意見。」

「俺はね、普段と違う角度から物事を見てんだよ。みんなが良いと思うだろうからと、それを公共放送で押し付けられたら、受け入れられない人もいるということだ。特に、二日酔いで苦しんでいる俺にとっては、美味しそうに飲むビールのCMは、とてもじゃないが、耐えられないんだよ。」

「じゃあ、テレビを見なきゃいいんじゃないの?」

「俺は、テレビは見たいんだよ。だけど、ビールのCMを見たくないからと、テレビを消すということはできないんだよ。」

「ねえ、みんな、アンちゃんは、相当、頭もイカレてきているよ。
太陽を見ても、眩しいから出るな!と言うんじゃないか?」

「夜だからお日様は出ていないよ。…ちょっとトイレに行ってくるよ。」…

「ギャー」…何が起こったんだ?

「アンちゃんが石に躓いて、転んだみたいだよ。」

「大丈夫か、アンちゃん!」

「誰だ?こんなに庭に石を敷き詰めたのは?」

「ああ、こりゃ、二日酔いじゃなくて四日酔いだなあ。」

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338,こっちの側に来たら

 朝、通勤途中で、道を譲る譲らないで、嫌な思いをしたことはありませんか?
少し広い場所で相手を待ったり、あるいは、すれ違うのが困難なら、ちょっと後ろに下がれば、お互いに感謝し合える。
それが普通のやり取りだと思うのだが…。

そんな場所でも、強引に進んでくる車がある。
「なんだ、こいつ!」
時には、降りて行って文句を言いたいくらいの時もある。
「こんなところで喧嘩している場合じゃない。」とは分かっていても、腹の虫が収まらない。
素直に自分がバックして相手に道を譲る気にはなれない時がある。

この日の友達もそうだった。
狭い道で、すれ違う時に相手の車が強引に入ってきた。
下がってやっても良いが広い場所までには、相当の距離がある。

この日は、「この状況では、絶対に下がらん。相手に下がってもらおう。」と友達は、決めた。
サイドブレーキをかけ、完全に止めた。
相手がパッシングをしたり、クラクションを鳴らして「下がれ!」と合図をしてきても、絶対に動かなかった。

すると、友達の後ろに、もう一台の車が並んだ。
相手は、2対1じゃ仕方なく、しぶしぶ、後ろに下がり出した。
黒い車でナンバーが「8888」なので覚える気がなくても頭の中に残った。という。

「朝から、気分が悪いなあ。もう忘れよう。」

 会社に着くと、「部長、募集広告を見て、応募した人が今日来るそうですよ。」

「男?女?」

「男みたいですよ。」

「部長、来ました。会議室でやりますけど、ちょっと脇で面接を見ていてください。何かあったらお願いします。」

「ああ、分かったよ。好い人だったら良いんだけどなあ。」

「お名前は? 住所はこちらですよね? 車でどれくらいかかりますか?
この会社で、どんなことがやりたいんですか? 趣味とか、スポーツとか、ちょっと自慢できることは、何かありますか?…

面接は、問題なく終わった。採用ということになった。

お互いに緊張感が取れた。

何気なく駐車場を見ると、黒い車があった。ナンバーを見ると「8888」

「今日、乗ってきたのは、あの黒い車ですか?」

「はい。」

「いい車ですね。」

「いやあ、そうでも。」

「ナンバーも覚えやすいですね。」

「中国の人たちが財産が溜まるようにと願っている好きな番号だと聞いたんで。」

部長は、「今朝も似たような車にあったなあ。」

「そうですか?」

今朝のことは、覚えていないようだと知ると、友達は、ほくそ笑みながら
「こっちの側に来たからには、こっちのルールに従ってもらうぞ。鍛えてやるぞ。会社のためにも世の中の為にも厳しくな。お前の自己中心を直してやるからな。」と心の中で言いました。

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337,働き者


近所に住む、ちょっと年上の先輩が語ってくれた。

「自分の身近にこんなすごい人がいたんだよ。」

「どんな方なんですか?」

「うん、私より2~3歳年上の女性なんだけどね。直接聞いたわけじゃないけど…。彼女は、農家の生まれで、周りの勧めもあって、農家の長男の家に嫁いだんだ。

彼女のすごいのは、そこからなんだよ。『どうしても、勤めの仕事がしたい』からと、町に新しく進出してきた大型のお店で働くことにしたんだ。
亭主、舅、姑も反対してきた。『うちの農業だけだって大変なのに、外で働くなんて、両方ダメにするから無理だ。止めておけ!』
 だが、彼女は、意志が硬く、曲げなかった。
とは言っても、気持ちだけでは、やっていけない。

現実は厳しいものがあった。

毎朝4時には起きて、田んぼ仕事、畑の仕事、それを終えて、家族の朝の食事作り、後片付け、そして急いで自分の身支度を整えて、駅まで歩いて行き、会社勤務。

帰ってくれば、残っている田んぼや畑仕事がある。それに、風呂の準備、夕飯の支度、洗濯…。

大事な子供が生まれれば、育児が加わる…。

正月、お盆は、帰省してくる義理の弟や妹たち家族の接待、まさに、働き詰めの毎日。

『私にも意地があったからね。出来ないとは言えなかった。やるしかなかったのよ。風邪をひいても具合が悪いなんて言えなかったし…。
長男の嫁は、まるで奴隷のよう…。

自分一人で泣く夜もあった。とか…。

『お店で働いている時が息抜きの時だった。』という。『今の時代に生まれていたら、私もそんなには出来なかったでしょうけど、あの当時は、それくらいじゃないと外に出て働くなんて出来なかったからね。』

「その人、よく身体を壊さなかったですね。」
「うん、彼女、本当に自分の両親に感謝していたなあ。健康で生活できる体に産んでくれたことに…。」

彼女の努力もあって、人当たりも良く、個客も多く、会社でも信頼される優秀な社員と認められ、姑も『あなたは、すごい仕事をしていたんだねと。』

「俺は、改めて、彼女の笑顔のすごさに驚いているよ。癒されている自分に気が付いたよ。口じゃうまく言えないけど、すごい人だよ。そばにいるだけで、周りに好い雰囲気を与えるんだよな。

彼女も、いろいろと辛いこともあっただろうけど、みんな自分の中で解消してきたんだろうな。…
だから、他人の心の嬉しさや悲しさ、辛さ、痛みなど自分のことのようにわかるんだろうな。

『年を取ったら自分の顔は、自分で作れ!』ってよく言われるけど、彼女の顔は、人生、喜怒哀楽の味が詰まっている最高の顔だと思うよ。

「そうなんですか?益々、会ってみたくなりましたよ。」

「本人に、面と向かっては、言えないけど。こういう人を『働き者』と言うんだろうなあ。
本当に、彼女の爪の垢でも煎じて飲ましてもらいたいよ。」

「働き者ですか。良い響きですね。」

「だが、彼女は、言うんだよ、『当時は、みんながよく働いていたのよ。…

今になって考えると、私は、働き続けてきて、良かったわ。お店で知り合った多くのお客の方たちが、ずっと好くしてくれるの。』

そして、こんなことも
『私は、今になって自由の身になったけど、自分の自由がうまく使えないのよ。』と、

さらに、『今の若い人たちが羨ましい時もある。』という。」

「本当にすごい人ですね。今度、紹介してくださいよ。」

「彼女を見ていると、自分のおふくろを思い出しちゃうんだよな。毎日、よく働いていたからなあ。」

「その方、ずっと幸せでいて欲しいですね。」

「ああ、そうだね。君も良い所があるね。」

「そうですか?その女性のすごさを見つけられた先輩もすごいと思いますよ。」

「君、今日一緒に飲まないかい?」

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336,口癖

 

今回は「口癖」を取り上げてみました。

皆さんは、自分の口癖に気がついていますか?
他人の口癖は、良く分かるのに、意外と自分の口癖が分かっている人は、少ないですよ。

人の身体は、食べ物によって作られます。心は、読んだ本や逢った人、自分の体験などで作られます。
では、自分の未来は、何によって作られるでしょうか?
夢、希望それもあるでしょう。

実は、自分が発している言葉が大きく影響しているんです。
自分では、なかなか気がつかないですが、口癖が結構その人の未来を決めているんですね。
なにしろ、一番それを聞いているのは、自分自身ですからね。

「ええっ?」「何で?」「はあ?」「でも…」「だけど…」「違うだろう?」「了解!」「ハイ、分かりました。」「ええと!」「あのう…」「実は…」「なに?なに?」「そうなんだ。」「本当に…」「どーも…」「そうですね…」「いや、…」そして溜息も…

 ちょっと極端な例ですが、
お店の店員さんに、お客が何かを注文するとき「ちょっと待ってください!」というか「ハイ!ただ今…!」どちらがお客は、納得しますか?
「ちょっと待ってください!」は、お客に待てと命令しているんですね。言葉は、丁寧ですが、自分の仕事が優先で、お客にストップをかけているんですね。
「ハイ!ただ今…!」の方は、自分の忙しさはさておき、お客の意志、意向を受け入れているので、多少待たされても、お客は我慢できます。
「ちょっと待ってください!」では、少し長いと「何分待たせるんだよ。」と言いたくなります。
このような例からも分かるように、あなたの何気ない口癖で相手を不快な気持ちにさせていませんか?

逆に、人を喜ばせるよい返答はしていますか?
返事一つをとっても「○○さん!」と呼ばれたときに、大きな声で「ハイ!」、呼んだ人が「呼んでよかった」と思えるような返事をしてはどうでしょうか。

小さなことですが、口癖は大事なことです。人を喜ばせるか、不快にさせるか、あなたの発する言葉で、あなた自身の未来は、決まる。


 自分の口癖、他人の口癖を少し考えてみませんか?
聞き上手は、話し上手にもつながることですからね。

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