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アリたちは働き者である。毎日せっせとよく働く。
あるアリさんに話を聞いてみた。
アリの世界も結構楽しいよ。
「最近どう?」
「何が?」
「よく働くし、不満や文句はないの?」
「そんなのは特別ないさ。俺達は、地球をきれいにしているだけだからなあ。
ただ…」
「ただ…何?」
「うん、この前、役所に行った時、提出した書類の一部が間違っていてさ。」
「えっ?何々?アリの世界にも役所とかあるの?」
「そりゃあ、あるさ。でないと自分勝手に動いちゃうだろ?」
「それで?」
「一文字多かっただけだから、取り消し線を引いて提出したら、駄目と言われ、その場で全部書き換えるように言われたんだよ。」
「えっ、一文字のために全部書き換え?
そりゃ酷いね。
担当者が悪かったんじゃないの?
人間の世界じゃそんなのありえないよ。
取り消し線で十分だよ。」
「だろう?ついでだから、
今年になって書式を変更した理由や小さすぎて見えない資料、西暦で書いたら令和で書けとか、午後8時は20時に直せとか等々、
今までの不満を言ってやったんだ。」
「そりゃあ、そうだよ。」
「あまりに高飛車で、腹が立ったので、『これは、どの様式にのっとって書くのですか?
出来たら、その様式とそれを決めた条文を見せてください。』と言ったら、
他のアリが出てきて、まだ決まったばかりで成文化されてないとのこと、
『じゃあ、今までのが、まだ生きているってことですよね』と突っ込んだら、取り消し線でもOKになったんだよ。」
「何、それ?」
「彼らは法を盾に言ってくるけど、こちらが先にその法を見せて欲しいというと案外弱いんだなあと思ったよ。」
「なるほどね。こりゃあ、人間の世界でも使えそうだな。」
「アリのための役所なんだから、アリたちのためになるような役所であってほしいんだよなあ。
そんなに杓子定規になることもないのになあって思ったよ。
最近気になったことはそれくらいかなあ。」
「また何かあったら教えてくれないか?」
「ああ、いつでも良いよ。
この辺に来たら2回手拍子してくれ、そしたら出てくるから。
あっ、甘いシロップもよろしくな。」
「ああ、今日はありがとう。」
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