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「どうしてそうなんだろう?」
ヒデちゃんが何やらぶつぶつ言っていると、
「どうしたんだい?」
「お父さん、簡単なことだと思うけど、僕わかんないんだ。」
「何が?」
「地図で、千葉県を見ると、成田や佐原は上にあるでしょ、逆に館山や鴨川は下にありでしょ。
なのに、なんで成田や佐原は下総で館山や鴨川は上総なの?反対じゃないの?」
「ああ、そのことか。」
「お父さん分かる?」
「それくらいは分かるよ。
ヒデちゃん、電車に乗ったことあるよね。」
「うん。」
「駅の放送で『上り電車が参ります。白線より内側でお待ちください』って聞いたことあるよね。」
「うん。」
「あの『上り電車』とか『下り電車』とかは何?」
「『東京に向かう電車』か『東京から離れる電車』ということでしょ?」
「そうだね。それと同じなんだよ。昔の都は東京じゃなくて…」
「江戸でしょ?お父さん?」
「アハハ、その前は?」
「ええっと、京都だ。」
「そうだ。だから、京都に近い方に『上』、遠い方に『下』を付けたんだよ。」
「ちょっと待って、お父さん、地図を見るから…
あっ、本当だ。確かに館山の方が京都に近いよ。だから、上総なのか。良く分かったよ、お父さん。」
「他にも、群馬県あたりを上野(こうずけ)の国、栃木県あたりを下野(しもつけ)の国、新潟県でも京に近い方から上越、中越、下越って呼んでいるんだよ。」
「へえ、そうなんだ。知らなかったなあ。ありがとう、お父さん。」
「ついでだから、ヒデちゃん、千葉県に九十九里ってあるの知ってるよね。」
「あの綺麗な海岸のあるところでしょ?」
「すぐ近くに白里って所もあるんだけど、両方同じ名前だというのが分かる?」
「えっ?何で九十九里と白里が同じなの?」
「100から1を取ると99だよね。」
「うん。」
「漢字の百から一を取ったら白になるよね。」
「あっ、なあんだ。そういうことか、だから九十九里と白里は同じってことか。ふーん、面白いね。」
「他にも、栃木県の『栃』の字の真ん中に『万』があるよね。万は千が十個のことだから(十(とう)の千)、千は(ち)とも読むから→トチなんだってきいたことあるなあ。」
「昔の人たちって、結構、言葉遊びを楽しんでいたんだね。」
「ちょっと面白いよね。」
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