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「お父さん、隣の俊ちゃんは、大きくなったらおじさんと同じ顔になるの?」
「あはは、そんなことはないよ。」
「だって、カエルの子はカエルで、みんな同じようになってるじゃないか?」
「カエルだってみんな同じ顔じゃないんだよ。」
「えっ、そうなの?」
「隣の俊ちゃんはおじさんとおばさんの遺伝子をもらっているから、両親に似ては来るけど、全く同じという訳じゃないんだよ。」
「じゃあ、お父さん、絵の具の赤と白を混ぜたら桃色になるのと同じ?」
「そう単純じゃないけど、まあ、そういうことだね。」
「今度、その桃色に黄色を混ぜたらオレンジになるしね。」
「ああ。本当は、もっと複雑で、白が多いか、赤が多いかで桃色もたくさんできるだろう?しかも、そのような部分がたくさんあるってことだな。顔だけだって目も鼻も唇も…」
「じゃあ、お父さん、同じ顔の人ってこの世の中には絶対にいないってこと?」
「そういうことだね。似た人は、いるかもしれないけどね。」
「ふーん、そうなんだ。ふーん。」
「何をそんなに感心しているんだい?」
「だって、僕って、今までの人間の歴史の中でも、この世にたった一つしかないんでしょ?そしたら…もっと自分を大事にしようと思たんだよ。」
「そりゃあ、そうだとも。」…。
「でもね、顔や性格はピッタリじゃなくても、親子だなあって分かることは一杯あるよ。」
「例えば?」
「目は、お母さんにそっくり、口や耳は、お父さんにそっくり、笑い方や、あくびの仕方、歩き方、気質、病気など色々あるよ。」
「そうなんだ。じゃあ、僕がお父さんからもらったものでは…『忘れっぽさ』もそうかな?」
「そりゃあ、お母さんからだろう?」
「あはは。」
「兄弟でも親からもらった部分が違うから、顔も性格も違うよね。」
「うん。」
「生命って本当に不思議だよなあ。小さな卵の中に設計図があるんだからね。」
「うん。」
「今の科学では、その設計図まで変えられるようになってきているからね。」
「そうなんだ。…お父さん、犬と猫が結婚しても、犬猫の子は生まれないよね?」
「ああ、持っている遺伝子の種類が違うからね。」
「ああ良かった。僕もそうは思っていたけど、合っててよかった。」
「そうか。」
「じゃあ、人魚とかスフィンクスなんかあり得ないよね。」
「そうだね。今の所…」…
「でも、よかった。僕は、人間に生まれて、しかもこの家で、お父さんとお母さんの子どもで良かったなあ。」
「そうか。だけど…カエルの子は、カエルだぞ。」
「何?何?」
「いや、何でもないよ。」お父さんは、言わなきゃよかったと反省しました。
【日本統合医学協会】アドラー心理学検定1級講座
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