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「先生がね、この前、小学校時代の先生の友達の克美君の話をしてくれたんだけど、面白かったなあ。」
「ううん、どんな話だい。」
「その克美君の家に『ピーコ』という鶏がいてね、ピーコは、自分を人間だと思っていたんだって。」
「へえ。」
「生まれた時から、一緒に家族扱いで生活しているから、風呂にも入るし、人と一緒に布団で寝るし、食事も同じテーブルで食べるというんだよ。チキンも喜んで食べるんだって。お父さん、どう思う?」
「面白い話だけど、本当か?と思うなあ。」
「周りの友達や先生自身も疑って話半分に聞いていたけど、すぐ近所の友達の清君が『それは本当だよ。遊びに行ったら、炬燵にちゃっかり座っていたよ。』と言ってくれたので、みんな『へえ、そうなんだ。』って納得したらしいよ。」
「なるほどね。」
「そしたら、当時の担任の先生が、狼に育てられた少女の話をしてくれて
『人は人との間で育っているから、人間になれている。だから、育つ環境が大事なんだ。』って教えてくれたんだって。」
「その先生、良い話をしてくれたね。」
「うん。」
「狼に育てられた少女か…、確かその話、アマラとカマラと言ったかなあ。お父さんも聞いたことあるなあ。
インドの話だったと思うよ。姿かたちは人でも中身は狼、それを初めて聞いた時は、驚いたなあ。」
「そんなに有名な話?」
「お父さんぐらいの人たちだったらみんな知っていると思うなあ。」
「そうなんだ。」
「ヒデちゃん、『孟母三遷』という中国の話も面白いよ。」
「えっ?どんな話?聞かせて。」
「中国に孟子という人がいたんだよ。」
「偉い人なの。」
「ああ、かなりね。」
「へえ、孟子?『もううし』って聞こえたけど、牛さんじゃないよね。」
「まさか。人の名前だよ。『もうし』という人だよ。」
「それで?」
「その孟子は、幼いときに父親を亡くし、母親一人の手で育てられたんだよ。
最初は、墓の近くに住んでいたんだが、孟子が葬式の真似ばかりするので教育上好ましくないと母親は思い、
お店が多い市場の近くに引っ越したんだ。そしたら、孟子は、商人の真似ばかりして遊んでいたんだ。
やはりここも好ましくないと思った母親は、今度は、学校の近くに引っ越したんだよ。
すると孟子は、祭礼の道具を並べて、儀式の真似をして遊ぶようになった。
母親は、この場所こそ孟子の教育にふさわしい所だと思って、初めて安心して住みついたという話だよ。」
「ふーん、僕は、どこでも同じだと思うけどなあ。」
「そうじゃないよ、ヒデちゃん。
子供は、周囲の影響を受けやすいので、子供の教育には環境を選ぶことが大切であるという教えなんだよ。
孟母は、孟子のお母さん、三遷は、三回住む所を変えた、という意味なんだよ。」
「そうなんだ。…僕んちの周りは…まあまあだね。お父さん。」
「お父さんとお母さんで選んだ場所だからな。」
「あっ、お父さん、人も環境だよね。そしたら、僕、弟か妹が欲しいなあ。」
「そうか、お母さんと相談してみるよ。」
「ついでにお姉ちゃんも…。」
「そりゃあ、無理だよ。」
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「227,孟母三遷」への3件の返信
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コメントありがとうございます。Thank you for your good comment.また頑張ろうという気持ちが出てきました。感謝です。
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