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パナシ

246,ゴミは汚い所に


「お父さん、うちのクラスと隣のクラスは、雰囲気が全然違うんだよ。」

「ああ、そうなんだ。で、何が違うの?」

「うちのクラスは、どっちかというと奇麗で、隣のクラスは、汚いというか、ガチャガチャしてて乱れているんだよ。」

「例えば?」

「うん、うちのクラスは、朝教室に入ったら黒板も奇麗だし、机も整頓されていて、とても落書きをしたり、教室の中を走り回れる雰囲気じゃないんだよ。」

「隣の先生は、どんな人なの?」

「新しく先生になったばかりの男の先生だよ。」

「じゃあ、今、勉強中なんだね。」

「うん、外でよく遊んでくれるけどね。」

「じゃあ、良い所もあるんだね。」

「うん。」

「ヒデちゃん、東京ディズニーランドに行ったことあるよね。」

「うん。」

「あそこにゴミは落ちているかい?」

「ううん、落ちていたらすぐ従業員の人たちが拾ってくれるから…」

「あそこで、ゴミを捨てようと思うかい?」

「ううん、そんなことできないよ。」

「どうして?」

「だって、ゴミは捨てては、いけないって雰囲気だもの。」

「そうなんだよ。いつも奇麗にしておくことで、従業員やお客さんのモラルとかマナーを上げているんだよ。」

「なんとなく分かるよ。お父さん。」

「こんな話があるんだよヒデちゃん。建物や自動車の窓ガラスを1か所割っておくと、どうなると思う?」

「ううん、分かんないなあ。」

「しだいに他の窓も割られたり、中が荒らされたり、ごみが捨てられたり…となっちゃうんだって。これを『割れ窓の理論』と言うんだけど、分かるかい?」

「うん、なんとなく。」

「誰もそのことに対して関心を払っていない、窓が割れているんだから、自分の前に誰かもやっているんだから、やっていいんだ、というサインになり、犯罪が起こりやすくなるんだよ。
その結果、ゴミのポイ捨てなども軽い気持ちでみんながやるようになり、住民のモラルやマナーが低下していくんだ。」

「そうなんだ。」

「だから、『ゴミは、汚い所に集まる』ってこと。
ヒデちゃんのクラスの先生は、そのことよく知っているんだね。
きっとその内に、隣の先生も分かってくると思うよ。」

「うん。」

ついでに、お父さんは、ニューヨークの地下鉄の落書きがなくなっていった話なども「割れ窓理論」に関係していることをヒデちゃんに話してやりました。

作成者: パナシ

雑学大好き、何でもやりっぱなしが多い。

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