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「お父さん、うちのクラスと隣のクラスは、雰囲気が全然違うんだよ。」
「ああ、そうなんだ。で、何が違うの?」
「うちのクラスは、どっちかというと奇麗で、隣のクラスは、汚いというか、ガチャガチャしてて乱れているんだよ。」
「例えば?」
「うん、うちのクラスは、朝教室に入ったら黒板も奇麗だし、机も整頓されていて、とても落書きをしたり、教室の中を走り回れる雰囲気じゃないんだよ。」
「隣の先生は、どんな人なの?」
「新しく先生になったばかりの男の先生だよ。」
「じゃあ、今、勉強中なんだね。」
「うん、外でよく遊んでくれるけどね。」
「じゃあ、良い所もあるんだね。」
「うん。」
「ヒデちゃん、東京ディズニーランドに行ったことあるよね。」
「うん。」
「あそこにゴミは落ちているかい?」
「ううん、落ちていたらすぐ従業員の人たちが拾ってくれるから…」
「あそこで、ゴミを捨てようと思うかい?」
「ううん、そんなことできないよ。」
「どうして?」
「だって、ゴミは捨てては、いけないって雰囲気だもの。」
「そうなんだよ。いつも奇麗にしておくことで、従業員やお客さんのモラルとかマナーを上げているんだよ。」
「なんとなく分かるよ。お父さん。」
「こんな話があるんだよヒデちゃん。建物や自動車の窓ガラスを1か所割っておくと、どうなると思う?」
「ううん、分かんないなあ。」
「しだいに他の窓も割られたり、中が荒らされたり、ごみが捨てられたり…となっちゃうんだって。これを『割れ窓の理論』と言うんだけど、分かるかい?」
「うん、なんとなく。」
「誰もそのことに対して関心を払っていない、窓が割れているんだから、自分の前に誰かもやっているんだから、やっていいんだ、というサインになり、犯罪が起こりやすくなるんだよ。
その結果、ゴミのポイ捨てなども軽い気持ちでみんながやるようになり、住民のモラルやマナーが低下していくんだ。」
「そうなんだ。」
「だから、『ゴミは、汚い所に集まる』ってこと。
ヒデちゃんのクラスの先生は、そのことよく知っているんだね。
きっとその内に、隣の先生も分かってくると思うよ。」
「うん。」
ついでに、お父さんは、ニューヨークの地下鉄の落書きがなくなっていった話なども「割れ窓理論」に関係していることをヒデちゃんに話してやりました。
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