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パナシ

274,太刀

また、友達の話をしよう。

 家の古い倉庫から、大小二本の太刀が見つかった。
そのまま持っていると、銃刀法違反で捕まってしまう。
ずっと知らんぷりして、元あった場所に置いておこうか?とも考えたが、「一応、警察に持って行って相談してみるか?」
そう考えて警察に持って行った。

 担当の警察官が、刀の柄を専用の工具を使って外し、銘を確認。

「はっきりとは見えないけれど、確かに銘が彫ってありますよ。どうしますか?要らないなら置いて行っていいですよ。こちらで処分しますから。」

「家に伝わるものだし、登録して持っていることはできないですか?」

「うん、県の教育会館で毎月だったかなあ、鑑定しているんだよ。美術品として登録できるかどうかをね。
もし、持っていたいなら教育会館に連絡して鑑定日を教えてもらったら?
その時、この届出書も一緒に持って行って!これがないと持ち運びできないからね。」

「ぱっと見た眼で、いつごろのものですかね?」

「はっきりは言えないけど…江戸時代のもののような気がするなあ。鑑定してもらえばすぐわかりますよ。」

「じゃあ、行ってみます。ところで、このような届け出は、結構あるんですか?」

「毎月1件くらいはあるかなあ。」

「そんなにあるんですか?」

「古い農家の家を壊したときなどよく出てくるんだよ。」

 言われた通り、県の文化会館に連絡をし、鑑定日を聞く。

当日、太刀を持って行った。十数名が並んで鑑定を待っている。

隣の席の人に聞くと「薙刀」だという。他の人は「槍」だという。

色々あるんだなあ。そんなことを思いながら、書類に記入し、鑑定の順番を待っていた。

 鑑定場所は、広い部屋で4つの場所に分かれて鑑定を行っていた。
順番が来たので大小の太刀を差し出して見てもらった。

小刀の方は、銘もはっきりしていて、すぐに合格。
大きい方は、銘が薄いので、二人の鑑定員が「銘がはっきり見えないんだよ。…後は波紋がしっかり出ていればいいんだけどなあ。」…

二人で相談し「窓開けしてもらって、波紋がしっかり出れば良いでしょう。今回は、それを条件に保留です。」

「窓開けって何ですか?」

「うん、刀身の一部分の10cm位を専門の人に磨いてもらうことだよ。
波紋が出なければ、不合格。
自動車の板バネとか何かを器用な人は太刀に作り替えちゃうからね。
…何人か刀剣研磨師を紹介するから、行きやすい場所を選んで行ってみたら?」

「そうですか。じゃあ、当たってみます。」

「小刀の方は、鑑定書が今日出るから次回は持ってこなくていいですよ。」

「分かりました。」

 車の中から選んだ研磨師に連絡、事情を話し、そのそのままそこを訪れた。

「銘は、よく見れば見えますよ。
それでも窓開けですか、分かりました。
じゃあ、太刀はお預かりします。」…

仕上がり日、値段…などを相談して、その日は帰る。


 二回目の鑑定日、鑑定室に入ると、前回の鑑定士とは違う人たちだった。

「窓開けして波紋が出れば、ということで今日きました。」

「うん、波紋は出ているが、銘がよく言見えないし、読めないんだよ。これを通すわけにはいかないなあ。」

「だって、窓開けが条件で…」

「いや、無理だよ。」…目と顎で係員に合図をした。係員が破棄承諾書を持ってきた。

あまりに高飛車なので、絶対に引き下がらないぞと決め込んだ。

係員に「ちょっと待ってさい。この書類は要りません。もう一回研磨師さんと相談して来ますから…
破棄したらこの刀はどうなるんですか?」と聞いてみた。

「鉄くずとして処分されます。」

「じゃあ、必ずもう一回来ます。」

 その足で、研磨師さんの所に行き、事情を話した。

「おかしいなあ。じゃあ、次回の鑑定相談日には、私が行きますよ。
それまで太刀はお預かりします。」

そして次の鑑定日、研磨師さんから昼過ぎに連絡があり、

「大丈夫でしたよ。無事に合格しました。」

「ありがとうございます。我が家の家宝にしても良いものですから、ありがとうございました。」

 翌日、研磨師さんにお礼に行った。
研磨の作業場も見せてくれた。そして、色々な砥石を説明しながら紹介もしてくれた。

「太刀は、磨きが命なんです。」としみじみ話していた。
研磨という手作業で根気のいる仕事にも感心した。

 こういう太刀の鑑定でも、鑑定士さんの人柄によるんだなあ、と思った。
誠実に対応してくれた研磨師さんに感謝。

鑑定書のついた太刀は、まだ窓開けしたまま部屋の隅で眠っている。
少しお金が入ったら刀身を全部磨いてもらおうかと考えている。
美術品扱いなので、それなりのお金がかかるだろうが…。


この友達は、今度その太刀を見せてくれるという。楽しみにしている。

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作成者: パナシ

雑学大好き、何でもやりっぱなしが多い。

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