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ある会社での一光景です。
課長から
「田中君、ちょっといいかい?」と声をかけられた。
「はい。」
誰もいない会議室に連れていかれた。
なんとなく嫌な予感がした。
「実はなあ、今度の課の発表会をメインでやってくれないかなあ。」
「えっ?僕がですか?」
「そうだ。」
「課長、待ってください。僕より有能な人が他にたくさんいるじゃないですか?」
「色々考えたんだが、君しかいないんだよ。どうだ、他人を当てにせず、自分の力を試してみないか?」
「そんな、僕にはうまくできる自信がありません。」
「あのなあ、田中君、人間、人前で恥をかかなきゃ伸びられないんだよ。分かるだろう?」
「はい。」
「決して上手くやろうと思わなくていい。7,8割でいい、後は楽しむことだよ。」
「はい。」…
「稽古事でもよく言うだろう?『負けて覚える相撲かな』とか。失敗してもいいんだよ。そうやってみんな力を付けていくんだよ。」
「それは、分かりますが…」
「大丈夫、みんなが協力するから…」
「でも…」
「『でも…』じゃない。『はい、やります。』となぜ言えないんだ。
…今日の午後の会議で皆にこの件を報告するから、覚悟を決めておけよ。いいチャンスだぞ。」
「分かりました。力不足ですが、何とかやってみます。」
「よし、決まりだ。気張らずやればいいんだよ。うまく行かなかったら首になるとか、会社が潰れるということはないんだから…。
少しずつ構想を練ってくれ。必要なものがあったら遠慮なく言ってくれ。」
「はい。」
「『練習は本番のように、本番は練習のように』だな。頑張れ!」
「はい。」
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