「お父さん、このハムおいしいね。」
「うん。美味いね。お母さんの腕も上がったかな。」
「ハムじゃないわよ。ベーコンよ。」とお母さん。
「ベーコンだってさ。」とお父さん。
「お母さん、ベーコンって何?」ヒデちゃんが言うと
「豚肉を塩漬けにして、薄く切ったものよ。おいしいでしょ?」
「うん。」素直にうなずくヒデちゃん。
するとお父さんが「お父さんの知っているベーコンは頭の栄養剤だ。」
「何それ?」ヒデちゃんが質問すると
「また始まったのね。」とお母さん。
「すぐ終わるよ。」とお父さん。
「ベーコンは、ベーコンでもフランシス・ベーコンという人の話なんだ。」
「誰?それ?」
「うん、この人の言った言葉がお父さんは大好きなんだよ。」
「どんなこと言ったの?」
「人と話すことは機転の利く人間を作り、書くことは正確な人間を、本を読むことは幅広く深い知識を持った人間を作る。」
「僕にはまだよく分かんないなあ。」
「うん、今は分からなくてもいいよ。その内に分かるから。」
「で、どうしてその言葉を知ったの?」「知りたいか?」
「うん。」
「大学生の頃、偶然に新聞で見つけたんだ。その通りだな。
それを読んで、『自分の考えを整理してくれた言葉だなあ』と思って、その記事を切り取って大事に保管したんだよ。
それからは忘れないで、自分自身でも少し実行したかなあ。
『話す、書く、読む』…」
「フランスのベーコンという人、凄いね。」
「フランスのベーコンじゃなくて、フランシス・ベーコンだよ。
この人はイギリス人なんだ。」
「書くってメモなんかも入るの。」
「そうだよ。」
「読むって、漫画でも良いの?」
「まあ、好きなところから入れば良いんじゃないの。」
「お父さんが最初に読んだ本は何?」
「そうだなあ。3歳くらいの頃かなあ、初めて買ってもらった絵本の『牛若丸』だな。
字が読めなかったから、家の人に読んでもらって、何回も何回も見ていたなあ。
見るたびに自分が牛若丸になった気分だったよ。」
「あら、そうだったの、私はかぐや姫だったかな。
奇麗な着物を着たい、月まで行きたいと思っていたわよ。」
「お父さんもお母さんもよく覚えているね。」
「今みたいに本がなかったから、何度も読んで大事にしていたんだよ。」
フランシス・ベーコン
1561年1月22日 – 1626年4月9日)は、イギリスの哲学者、神学者、法学者である。
「知識は力なり」の名言で有名。
・人は、話して賢く、読んで豊かに、書いて確かになる。
「人と話すことは機転の利く人間を作り、書を読むことは、物知りな人間を作り、書くことは正確な人間を作る」
・悪賢い人は、勉強を軽蔑し、単純な人は勉強を称賛し、賢い人は勉強を利用する。
・青年たちは、判断するよりも発明すること、評議するよりも実行すること、決まった仕事よりも新しい企てに適している。
・金は、こやしのようなもので、撒布しない場合は、役に立たない。
・金は、良い召使だが、場合によっては悪い主人でもある。
・家は、中に住むものであり、外から見るものではない。
・知は、力なり。
・美貌は、夏の果物のように腐り易い。
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