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太極拳のサークルで一緒の友達が、2本の松葉杖でやって来た。
「どうしたんだい?その格好は?またなんか悪さでもしたのか?」
「違うよ。そんなんじゃないよ。焦ってゴミ捨てに行ったらさ、カラスよけのネットがあるだろう?
あれに引っかかって、足首を思いっきり捻っちゃったんだよ。」
「そうなんだ。だけど、本当に痛たそうだな。」
「これでも少しは、痛みはなくなってきたんだ。いやあ、辛いね。無理に動こうとすると、違うところに負担が掛かって…」
すると、それを聞いていた先生が
「大事になさってくださいね。治るまでは、無理をしない。
中国では、『死ぬこと以外は、かすり傷』と私は、言われてきましたよ。」
「ええっ?そんな発想、日本人には、できませんよ。そうだよねえ?」
「先生、本当に痛たかったんですから…。でも、そう言われると、
『こんな怪我くらいには、負けられない』という気になりますね。」
「そうでしょう?言葉は、意識を強めたり、弱めたりしてくれるんですよ。
一度、口に出して言ってみなさい。」
「ああ。はい。『死ぬこと以外は、かすり傷』なるほど、私も使ってみたいと思います。
先生、力強い言葉をありがとうございます。完全に治るまで、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。
しばらくは、皆さんの動きを観察して過ごします。」
「観察こそ、効果的な修行ですよ。決して焦らず、無理をしないでくださいね。」
最近、海外の人と接する機会も増え、今までの発想と違う言葉に
「ぎょっ!」としたり「その表現、ぴったり!」「気持ちが強くなった!」「楽に考えられるようになった!」など多く聞くようになったと思います。
蛇足ですが、
逆に、日本人の『いただきます』には、『食材になった命をいただきます』
『ごちそうさま』には、『食材の命に対して感謝の気持ちを表している』と知って、『食に対する考え方が変わった』、という海外の方がいることもよく聞きますが…。
自分を元気づけてくれる言葉は、どの国の言葉でも、好いものですね。
後で先生が『死ぬこと以外は、かすり傷』は、日本で作られた言葉だと教えてくれました。
諸説あって、箕輪厚介のマンガとか超覚寺というお寺に書いてあったとか、情報は、色々ありますが、大元は、分かりません。また、探してもあまり意味がありません。
それよりこの言葉を自分なりに肯定的に生かす方が善策ですね。
イヤホンはJLab
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