ピグマリオン効果( pygmalion effect)
昔、ギリシャに、ピグマリオンという王様がいました。
彫刻するのが好きで、象牙に彫った女性の像に、なんと恋をしてしまいました。
「可愛い」「可愛い」と毎日撫でていると、この彫刻が、本当の生きた女性になり、やがてピグマリオンの妻になったという逸話ですが、
人は誰かに期待されると、次第に期待された通りになっていく傾向があることと言います。
この効果をピグマリオ効果と呼んでいます。
この効果は、人間関係において、あらゆる場所で役立ちますが、特に学校では、大変使う価値のあるものだと思います。
「良い子だ。」…「良いい子だ。」と言い続けていると本当に良い子になっていくということです。
小学校の教師をしている友人が、こんな話をしていました。
毎朝、子ども達への声掛けを正門の所でしている。教室で見る顔より、普段の何気ない姿を見て、元気のない子は励まし、元気そうな子には「頑張れ!」の応援の声を掛けているという。
ある日、クラスの渉君が来たので「おはよう、調子はどうだ?」
「おはようございます。元気です。」…
「渉君、悪いけど、このレジ袋のゴミ、昇降口のゴミ箱まで持ってってくれるかな?」
「はい。」…
皆が登校し終わった時間なので、昇降口に向かったら、入り口前にさっきのゴミが捨ててあった。
「あいつ…。」教室に行ったら「なぜ、あんな所にゴミを捨てた?」渉君を叱ろうと思っていた。…
うん?ちょっと待てよ。正門から昇降口まで運んだことを評価してやろうか?朝から汚いゴミを持たされたんじゃ、確かにたまんないよな。
ピグマリオン効果か…そうだな。
教室に入って、朝の挨拶をした後、
「今日は、皆で拍手を送って欲しい人がいます。それは、渉君です。朝、正門に落ちていたレジ袋ののゴミを昇降口のゴミ箱に捨ててくれました。おかげさまで、皆さんも嫌なゴミを見ることもなく、気持ち良く登校できましたね。皆でお礼の拍手を渉君に送りたいのですが、どうですか?」
ぱちぱち…。ちょっと照れ気味に頭を搔いているいる渉君、でも嬉しそうでした。
これをきっかけに、私の友人は、渉君を褒めることが多くなったと言います。ちょっと失敗しても「どうしたんだ?渉君らしくないぞ、次はまた頑張れ!」…。
渉君は、人が変わったように良い子になったそうです。
ピグマリオン効果が役立った例ですね。
その友人がこんなことも言ってました。
往々にして無意識で「またお前か?」「またやったのか?」等、逆のピグマリオン効果を掛けている時が結構あるので、気を付けるようにはしているとのこと。
あの日の朝も「なぜゴミをちゃんと捨てなかった?」と叱っていたら、渉君も…。
私も、周りの人や家庭でも、たまにはピグマリオン効果を掛けてみたくなりました。
「あなたは、本当に美人だね?結婚してくれてありがとう!」と妻に言ったらどんな顔するだろうか?…私は、嘘をつくのが苦手だし…。
自身にピグマリオン効果を掛けたらどうなるのかなあ。あはは、単なる自惚れかな?…おお、やだ、やだ。
※一時期、「二つの瓶に水を入れ、毎日、片方は褒め、片方は罵声を浴びせていると、罵声を浴びせられた方の水は汚くなっていく。」そんな記事が新聞に出ていました。それを語る講演者もいましたが、その後、なんの根拠もないこととして否定されてましたね。
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