
「お父さん、すごいカエルがいるんだね?」
「ヒデちゃん、何を言ってんの?」
「今日は読むだけだったけど、ほらこのカエル。」
「どれ、どれ?『かえるのぴょん』か。」
「お父さん、このカエル、すごいんだよ。母さん飛び越え、父さん飛び越え、飛行機まで飛び越すんだよ。すごいでしょう?
こんなスーパーカエル、お父さん見たことある?」
「なんだって?良く見せてごらん。」
かえるのぴょん
谷川 俊太郎
かえるのぴょん とぶのがだいすき
はじめにかあさんとびこえて
それからとうさんとびこえる
ぴょん かえるのぴょん
とぶのがだいすき
つぎにはじどうしゃとびこえて
しんかんせんもとびこえる
ぴょん ぴょん かえるのぴょん
とぶのがだいすき
とんでるひこうきとびこえて
ついでにおひさまとびこえる
ぴょん ぴょん ぴょん かえるのぴょん
とぶのがだいすき
とうとう今日(きょう)をとびこえて
明日(あした)のほうへきえちゃった
ぴょん ぴょん ぴょん ぴょん
「で、先生は何て言ってたの?」
「今日は読むだけだったけど、すごいよね。ぴょん、ぴょん ぴょん 読んでいて楽しくなっちゃたよ。」
「そうか、ヒデちゃんはスーパーカエルと思ったのか。」
「お父さんは?」
「うん、まだ内容のことやっていないんだろう?だったら、それが終わってから話すよ。明日の夜かな?」
「分かった。」…
「ぴょんぴょん」と言いながら2階に行くヒデちゃんでした。
お父さんは、こう思いました。
カエルの跳び方、高さは同じだが、作者の目線が段々遠くに行っていること、遠くのものは遠いほど小さく見えるからカエルが跳んだ高さの中に入る。
つまり、作者が段々と元気になって、目線が上がって遠くに行き、
「今日の様に明日も頑張ろう」としている気持ちをぴょんぴょんという軽快なリズムで表しているんじゃないかなあ。
最初のお母さんは一番近くにいる存在だからでしょう。家族から乗り物や→空(宇宙)→3次元の時間へと思いをはせている。のではないのかなあ。
私も跳びたいよ。ぴょんぴょん、会社、日本、ぴょんぴょんぴょん、過去へそして未来へ。
明日のヒデちゃんの話が楽しみだなあ。でも、あの子は本当にスーパーカエルがいると思っているのかなあ、そっちの方が心配だ。

