よく犬を散歩させている村人がいる。
この日も愛犬「シロ」を連れて近くの小川まで歩いて行った。
小さな水門に着くと、ペットボトルや缶コーヒーなどが捨ててあった。
時々、外国の人たちも車でここに来て釣りを楽しんでいることがある。
「何を釣ってんの?」
「釣れるかい?」
「頑張って!」
「どこから来たの?」…
こちらが挨拶すれば、向こうもにこやかに挨拶を返してくる。
「釣りをするのは良いけど、ゴミは、持ち帰って欲しいなあ。」と思ってフェンスを見ると、オレンジ色の釣り人用のジャンパーが掛けてあった。と言うより投げ捨ててあった。
「ペットボトルや缶と同じゴミだな。」…そう思って家に持ち帰って捨てた。
「まてよ、このジャンパーは、どうしようか?
そうだ!『忘れ物』として扱ってやろう。一回、洗ってやるか。」
洗濯機に入れて洗ってみると、泥汚れも取れて、綺麗な感じになった。
乾かして、きちんとたたんで、ビニール袋に入れて、メモを添えて、雨に濡れてもいいようにガムテープで封をした。
次の日の夕方、犬の散歩のついでに水門の雨に濡れない場所にテープで括りつけておいた。
メモには、『忘れ物です。洗濯してあります。
※もし、ゴミなら自分で処分してください。』
少しでも、気持ちが届けばよいのだが…。
旅行から帰ってきた女房が帰って来るなり
「あなた、洗濯機で何を洗ったの?」
理由を説明すると
「やめてよ!汚いわね。そんなもの、もう持ってこないで!」
手厳しい非難の声をこの日も背中で受け止める村人であった。
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