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パナシ

31,パナシ君とツモリさん

 「ヒデちゃん、会社の人が言っていたけど、今学校で変な病気が流行っているんだって?」
お父さんが夕食の後、ヒデちゃんに言いました。

「どんな病気?怖いの?」ヒデちゃんが聞き返すと

「怖くはないけど、心が腐っちゃうらしいよ。」お母さんも食事の片付けをしながら聞いていたようで横から入り込みました。

「えっ?何それ?」

お父さんが答えました。
「パナシ君とツモリさんだってさ」

「パナシ君?とツモリさん?何?人なの?」とヒデちゃんが聞きました。

お父さんが「人じゃないよ、病気だよ。誰にでも何にでも、くっつくんだってさ。『やりっパナシ』『出しっパナシ』『書きっパナシ』『言いパナシ』『脱ぎっパナシ』…

 「ツモリさんも同じだ。誰にでも何にでも、くっつくんだってさ。
『言ったつもり』
『ちゃんと持ったつもり』
『宿題やったツモリ』
『目標守ったツモリ』とかね。」

僕はタモリさんの真似っ子のつもり

「そうなんだ。『開けっパナシ』『電気を付けっパナシ』とかいろいろ付けられて面白いね。」

 「面白くはないけど、ヒデちゃん!家に帰ると『ナガラさん』もいるよ。
『食べナガラ宿題』
『TVを見ナガラ食事や勉強』とか、
『ナガラさん』は学校ではないだろうけどね。」とお父さんが言うと、お母さんが笑いながら言いました。

「ヒデちゃん、こういう病気にかからないようにしようね。
これらの予防薬は薬局でも売っていないからね。」

「ウン、お母さん、大人にも言えるよね。時々お父さんに『新聞読みっパナシよ。』って言っているものね。」

 「お父さんのことはさておき、大人に『パナシ君」や『ツモリさん』がくっ付くと大変だよ。
『終わっても貼りパナシのポスタ-』、『ごみを出しっパナシ』、
『エアコンの付けっパナシ』、
『車のドアを開けっパナシで運転』、
『料理の火を付けっパナシで長電話』とか、

『運転しながらスマフォ』とか、
自分ばかりでなく周りに迷惑を掛けることが多くなるよね。お父さんも気をつけるから、ヒデちゃんも気をつけようね。」

 「うん、分かった。お父さん、お父さんは、僕に教えたツモリ?」

「あはは、一本取られたかな?」

お母さんも思わず笑ってしまいました。

ずっと歩きっぱなしで疲れたよ。あれっ?お母さんどこ行ったの?