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パナシ

330,八百長

 

  「お父さん、この字はなんて読むの?『八百長』」

「うん、どれどれ?…うん?ハッピャクナガ? ハッピャクチョウ? ヤオナガ? ヤオチョウ?…お母さん、この字は何と読むんだっけかな?」

「えっ?ヤオチョウでしょう?」

「あっ、そうそう、ヤオチョウだよね。ヒデちゃん、これは、ヤオチョウって読むんだよ。八百は、八百屋(ヤオヤ)と同じ読みだからヤオ、それに長いが付くからヤオチョウだよ。お父さん、ちょっと度忘れしていたよ。」

「度忘れじゃないでしょ。元々読めなかったんじゃないの?」

「度忘れだよ。」

「分かった、じゃあ八百長ってどういう意味なの?」

「そりゃあ、相撲とかの勝負事で、どっちが勝つかあらかじめ相談して、何もなかったかのように勝負することだと思うよ。なあ、お母さん。そうだよな。」

「そうですよ。」

「ほらな。」

「じゃあ、どうして八百屋と同じ字を使うの?」

「おい、お母さん、助けてくれよ。」

「ヒデちゃんもそれくらい自分で調べたら?」

「そうだ、そうだ。自分で調べた方がいいな。」

「分かった。上でパソコンで調べて見るね。」

「ああ、分かったら、お父さんにもお母さんにも教えておくれ。」

「はーい。」……


お父さん、分かったよ。面白いよ。あのね…」


 その昔の碁の名人「八百屋の長兵衛(やおやのちょうべえ)」さんがいました。 八百長さんは、商売で出入りしていた相撲部屋の年寄りの碁の相手をしょっちゅうしていました。実力は八百長さんがずっと上です。が、相手の機嫌をそこねないよう、いつも1勝1敗程度に手加減していた、という話です。このことから、「前もって勝敗を打ち合わせておき、うわべだけ真剣に勝負すること」「慣れあいで、ことを運ぶこと」を「八百長」と言うようになりました。
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「なるほどなあ。自分で調べると、楽しいだろう?」

「うん、でも本当にわからないことは、教えてね。お父さん。」

「ああ、お父さんも勉強になったよ。ありがとう。お母さん、ヒデちゃんに、今夜のハンバーグは、ひとつ多めに!」「はい、はい。」

「やったー」


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