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パナシ

217,切り裂き魔

 
「キャー助けて!」若い女性が電車から降りるなり、悲鳴を上げた。
「この人、切り裂き魔です。私のスカートを切りました。」
「えっ?」周りにいた人がみんなびっくりして声のする方を見た。
確かに女性の太腿あたりのスカートが切れている。
「おい、お前か?」思わず私は、犯人らしい男に声をかけると、
男は駆け足で、駅の改札口方向に下るエスカレーターに乗った。
「まてー!」逃げる姿に、体が反応し、私は男を追いかけた。エスカレーターを駆け下りて追いかけた。
すると男は、下まで行ったら反対の上りのエスカレーターに乗り出した。また、電車に乗って逃げようとしたんだろう。
エスカレーターに乗ってすぐだったので、男の衣服をつかみ、引きずりおろした。
「何すんだよ?」
「お前、女のスカート切り裂いただろう。」
「やってないよ。」
「いいから来い。」勢いで彼を駅員室まで連れて行った。
「この男、女性のスカートを切ったらしいので、連れてきました。」
2人ほど若い駅員さんがいたが、ぽかんとした表情。
「ここへ連れてこられても…。」
ちょっとあてが外れた。…
「とにかく、後は、あなたたちに任せるから…。」と、男を引き渡して駅員室を後にして、職場に向かった。
後で考えると、被害者の女性は、既に立ち去っていないし、勢いでこちらが勝っていたから何もなくて良かったけど、もし、男がナイフでも出したらと思うと…、ちょっと勇み足だったかなあとも反省した。
それ以降何の連絡もないことから、男はすぐに放免になったのだろうと推測した。
これはよく切れる。