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パナシ

371,女性?男性?

親子で東京に行った帰り、駅のトイレに寄ったヒデちゃんが、戻って来るなり

「お父さん、僕ビックリしたよ。」

「何かあったのか?」

「あのね、僕の隣に女の人が入って来たんだよ。」

「男のトイレにか?」

「僕、一瞬、自分が間違えたと思って、周りを見渡して確認したけど、男子トイレで間違いなかったんだよ。」

「で、どうした?」「その人ね、スラーっとしていて、奇麗な人でね、髪もロングヘアーで、何処から見ても女の人なんだよ。」

「そうなんだ。」

「僕、おしっこしているその人の下の方を分からないように覗き込んだら、立派なものが付いていたんだよ。僕の頭は、ぐちゃぐちゃになっちゃったよ。
この人は、男なの?女なの?」

「ああ、そういうことがあったのか。」

「お父さんだって驚くよ、きっと…。」

「うん、お父さんも、最近、駅の改札でスカートを穿いている男の子や化粧している男の子を見たことあるよ。」

「えーっ、そうなんだ。」

「テレビでも、女装して出ている人増えてきただろう?」

「ああ、そうだね。」

「男だから、女だから、こうでなくてはならない、という考えは、もう古いのかもしれないぞ。」

「じゃあ、僕も『今日は、スカート穿いて行こう』とか『今日は、口紅つけて出かけよう』『今日は、付け髭つけて行こう』とか自由な格好が出来るということ?」

「やがては、そんな時代が来るんじゃないかな。
言葉だってそうだぞ、ある人が言っていたけど
『トラブルが起きた時など、男言葉では、喧嘩になりやすいけど、女言葉だと喧嘩にならない』てね。」

「例えば?」

「うるさい人に『うるさい!』とか『うっせー!』と言うと相手も『何だよ!』と、かっかするけど、女言葉で『お黙り!』『うるさいわよ!』『元気だわね。』とか『てめえ、おめえ、何ほざいてんだ!』も『あなた、何言ってんのよ。』だと揉めることが少ないんだよ。

『売り言葉に買い言葉』って知ってるだろう?あれも男の方が多い気がするなあ。」

「ああ、確かに。」

「女装も、最初にやっていく人たちは、周りの常識を変えていくんだから、勇気があるし、度胸がいると思うよ。
みんなは、変な目で見られるのが嫌だからやらないだけだよ…」

「じゃあ、さっきの人も、よく考えてやっているんだね。
ふーん、そうなんだ、僕、ある意味で見直しちゃったな。」

「そうか、それは良かったな。人間生まれた時は、男も女も一緒だからな。
それに…」

「それに、何?」

「人を大きな括りで見ないことだな。男だから、女だから、日本人だから、中国人だから、アメリカ人だからとね。あくまで個人の問題何だからね。」

「うん、なんとなく分かったよ。」

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パナシ

341,急所


「また、こんな事件があったのか?ふーん。」

「どうしたの?お父さん?」

「うん、駅のホームで喧嘩があってね。その日は雨で、傘で刺された人が亡くなったんだってさ。」

「そうなんだ。」

「いいかい、ヒデちゃん、人の体の軸というか、真ん中は、みんな急所なんだよ。
そこは、上から攻めて来るものには、ある程度は、守れるようになっているけど、下から突き上げられたりしたら、とても弱いんだよ。」

「そうなの?」

「目、鼻、あご、喉、鳩尾(みぞおち)、臍、金的、太腿の内側…」

「ああ、本当だ。そうなんだ。なるほどね。」

「だから、傘のような細いものを棒で刺すように突いたら…、
例えば、喉を突こうとした時、外れても、顎、口、鼻、目のどこかの急所か穴に入ってしまうんだよ。
だから怖いんだよ。」

「ああ、。確かにそうだ。」

「しかも、お酒が入っていて、自分の手で直接刺すわけじゃないから、力が入っちゃうんだろうなあ。」

「ふーん。お父さん、この人たちも喧嘩するために駅のホームに行ったんじゃないから、『ごめん!』とか『すみません!』で避けられなかったのかなあ。」

「ヒデちゃんだったら、そうするかい?」

「僕は、喧嘩が好きじゃないから、きっと、すぐに謝っちゃうなあ。」

「そうだね、つまらんことは、『負けるが勝ち』でいいと思うよ。でも、譲れない大事なことは、時には喧嘩することも必要だけどね。」

「うん。」

「不審者に急に襲われたとき、傘を持っていたら、ぱっと広げて、何回も突くといいらしいよ。広げると相手に取られにくいし、突いても深く入らないから…」

「そうなんだ。」

「ヒデちゃん、ついでだから、以前に、こんな事件もあったんだよ。」

「何?」

「最近は、あまりないけど、暴走族のバイクの音がうるさいからと、道路にゴールテープのように横向きにロープを張ったんだよ。」

「危ないよね。お父さん。」

「そうなんだ。夜で視界も悪いし、ロープなんて見えない、それに、スピードも出ていたから、ロープがハンドルを持つ手に沿って、首に入って、一瞬でバイクから投げ出されて…即死。」

「恐ろしいなあ。」

「バイクを止めるつもりでやったんだろうけど、結果的には、殺人に…。」

「お父さん、自転車でも、きっとそうなるよね。首にロープが必ず行くよね。」

「そうだ。」

「僕、バイクに乗るのは、止めることにしたよ。」

「ああ、当分先の話だろうけどね、それが良いよ。」

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