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お父さんが、植木の手入れをしながら、鼻歌を歌っている。
♪上を向いて歩こう、涙がこぼれないように、思い出す春の日独りぼっちの夜…、幸せは雲の上に幸せは空の上に 泣きながら歩く独りぼっちの夜♪
「お父さん、僕その歌知ってるよ。」
「そうか?世界中にヒットしたからなあ。坂本九さんの歌だよ。」
「そうなんだ?」
「でもね、曲のタイトルがアメリカでは『上を向いて歩こう』ではなくて、なぜか『スキヤキ』というタイトルで発売されたんだよ。」
「どうして?『上を向いて歩こう』の方が僕は好きだなあ。」
「うん、実はね…
ケニー・ボール楽団というイギリスのディキシーランド・ジャズのバンドが、この曲を最初に録音したんだけど”uewomuite-arukoh”という題が長くて、みんなどうしても覚えられなかったんだ。
そんな時、メンバーの誰かが浅草で食べたすき焼きが美味しかったから、「面倒だから『スキヤキ』にしようか?」と言い出して、それがそのままレコードのタイトルになってしまったのだ。らしいんだ。
まあ、もちろん歌が良いというのはあるけど。他の名前だったら、例えば『すし』でも、こんなに売れなかったんじゃないか。
こんなに売れると分かっていたらもっとちゃんと名前つけたんじゃないのかなあ。
結局、『上を向いて歩こう』は、『スキヤキ』と名付けられ世界に広まったんだよ。
世の中何がおこるのかわからないからなあ。」
「へえ、そうなんだ。」
「でも、『スキヤキ』(すき焼き)ってどんな意味か分かるかい?」
「何となく、牛肉とシラタキと…」
「ちょっと語源を調べたら、こうなんだってよ。」
すき焼きとは、肉(主に牛肉)にネギや豆腐・しらたきなどと、醤油・砂糖などで調合した甘辛いタレで煮焼きして食べる鍋料理。
江戸時代中期、関西には元々農具の鋤(すき)を鉄板代わりにして貝や魚を焼く「魚すき」「沖すき」と呼ばれる料理が存在していた。
その鋤で牛肉を焼いたものを「鋤焼(すきやき)」と呼ぶようになったのが語源とされる。
すき焼きは、江戸時代から見られる名前で、鍋の代わりに農具の鋤(すき)の金属部分を火の上にかけ、魚や豆腐を焼いて食べたことから、「鋤焼(スキヤキ)」と呼ばれるようになったといわれる。
その他、すき焼きの語源には、肉を薄く切るため「剥身(すきみ)」から「剥き焼き」となったとする説や、古くからある日本料理の「杉焼(すぎやき)」からとする説、好きなものを焼くからといった説もある。
しかし、1832年の『鯨肉調味方』に「鋤焼とは、鋤のよく擦れて鮮明なるを、熾火の上に置きわたし、それに切肉をのせて焼くをいふ。鋤に限らず、鉄器のよくすれて鮮明なるを用ふべし」とあるため、鋤の上で焼いた説が有力とされていいる。
江戸時代のすき焼きは、現代の焼肉や鉄板焼きのようなもので、関西風すき焼きにその名残をとどめる。
当時は牛肉が禁止されていたため、鴨や猪、鹿などの肉が使われた。
文明開化後、牛肉が庶民の食べ物として普及してからは、東京を中心に割り下を使うすき焼きが広まり、「牛肉鍋」や「牛鍋(うしなべ)」と言われ、やがて「牛鍋(ぎゅうなべ)」が、関東では一般的な呼び名となった。
全 国的に「すき焼き」と呼ばれるようになった時期は、それほど古くないようだ。
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