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篠笛の演奏会の横看板を作ると言ったけど、なかなかうまく作業が進まない。
演奏者の顔にかからぬよう、長さの調整、釘もネジも使えないので、どうやって吊り下げるか?
何度か現場に足を運び、寸法を測ってきた。
字は、どうする?自身の手書きでも良いが、万人受けするにはやはりパソコンの字体が無難。その小さな印刷の字体を大きくしたい。フリーハンドで写すには難しい。そうだ!プロジェクターを使って壁か襖に用紙を張り、それを鉛筆でなぞって写せば良い。そこまで考えが進んだ。
よし、やるぞ!鉛筆の線がまあまあ。
それを墨を付けた細筆でなぞる。手の震えが線に現れる。そして線の中を太筆で塗る。
「篠」「笛」「演」「秦」「会」が出来た。並べてみるとそれぞれの字が少しずつ傾いているように見えてきた。
用紙を少しずつ切って調整しようと思ったが、止めた。
自分の脳裏に「未完成の美」という言葉が通り抜けたからである。
調べてみると、
未完成の美や不完成の美とは、不完全なものに美しさを感じるという日本の美意識のことです。 「わび、さび」という美意識にも通じるものがあります。
わびさびは、不完全や不足を受け入れて、その中にある静かで深い美しさを感じることです。
他にも、ミロのヴィーナスは腕が欠けているけれども、その欠けた部分に想像力を働かせることで、より美しく見えるという考え方です。
マスクした顔が美しく見えるのも同じですね。
日光東照宮の陽明門の柱は4本のうち1本だけ向きが反対なのは、魔除けのためと言われています。 陽明門の柱にはグリ紋という曲線の文様が彫られていますが、北側の西から2本目の柱だけ、グリ紋が逆向きになっています。 これは、「満つれば欠ける」という諺に従って、不完全な柱を加えることで、完璧なものに対する神罰や災難を避けようとしたと考えられます。
私は、敢えて、今回の自分の失敗は、直しませんでした。
逆に、完成品を求めてピリピリするより、わざと失敗するぐらい大胆に作ってみよう。と腹をくくりました。
これでどんなに気持ちが楽になったことか。なぜ今までその境地にたどり着けなかったのか。
短い木材を長くする方法、クランクで締めて吊り下げる方法、画鋲の跡を隠す方法…これで行けると、言い切れた時の快感。
金をかけて、人任せもひとつの方法だが、自分で色々やってみると、得るものも多い。
今回は、「未完成の美」、「魔除け」を学んだ。
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