もう20年以上前にラジオで聞いた話が、いまだに忘れられません。思い出しながら、ここに文として起こしました。確か高嶋秀武さんの朝の番組だったと記憶してます。
《人間様》
駐車場に車を止めようとしたところ、鳩が一匹、その真ん中にいて邪魔になっていた。
「近づいて行けば逃げるだろう。」と思ってゆっくり車を後方に動かすが、いっこうに動く気配がない。車を止めエンジンをふかしてもだめ。
「ほら、轢かれちゃうぞ。」
…しばらく鳩と私のにらみ合いが続いた。
面倒くさい気持ちを抑えて、しかたなく追い払おうと車を降りた。だが、私が近づいてみても、鳩は逃げない。
「怪我でもしているのだろうか。」
「ぎょっ!」…私は驚いてしまった。
一羽だと思っていたら、その陰に車に轢かれて横たわっている鳩がいるではないか。更に踏みつけられないようにと、その鳩は自分の身をもって轢れた鳩を守っていたのだ。私はとっさにこの鳩達は夫婦なのだと察した。
昨今、私達の社会では親が子どもを殺したり、子どもが親を殺したり、血生臭い事件が多く続いている。家族や夫婦の絆も大分ゆるんできている。
この鳩達の姿を見たら、いやいや、とても「人間様」としていい気になってはいられないものだ、とつくづく思った。
新聞やテレビのニュースで人間関係での殺傷事件を見る度に、あの鳩達のことを思い出している私です。
「人間様か……。」
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