
ある日の朝、車を運転して職場に向かった。T字路を右折したときのことだった。
対向車の白いポルシェがウィンカーを出し、左折しようとしているのが分かったが、まだ十分距離があり、大丈夫だろうと思って急いで先に右折した。
すると、そのポルシェは、クラクションを鳴らし、私を追いかけてきた。
「なんだこいつ?」
暫く追いかけられたが、信号で止まらざるを得なくなった。
ポルシェから若い男が下りてきた。
ドアの窓をこぶしで叩き、
「左折が優先じゃねえのかよ?」
私は、何も言わず、相手に向かって開いた手を上に挙げた。
すると男は「今度から気をつけろ!」と捨てぜりふを吐いて、逃げるように、またポルシェに乗り、猛スピードで左折して行ってしまった。
派手なスーツに目立つ車、ただ者じゃないことが誰でもわかる若者だった。
「免許取り立てで柔軟性がないんだなあ。相手も揉めたくはなかったんだろう。私も気をつけなきゃ。そんなに急ぐこともなかったのだから。
しかし、あの人は左折が好きなんだなあ。右翼的に見えたけどなあ。」

これは、手を挙げてトラブルを回避できた事例です。
車の免許を持っている周囲の若い人たちに、よく言っていることは、すれ違いの道、譲っても譲られても手を挙げること。手を挙げるだけで良いんです。
相手は、自分に都合の良いように解釈してくれるので…。
相手も手を挙げてくれたらお互いに気持ちが良い。
ただ、相手に強制してはいけない。こちらが手を挙げても、無視して、何の反応も示さない人もいます。それに腹を立てていたらストレスが余計に溜るだけですから。
割り込みをさせてくれたら、相手の目を見て、手を挙げてお礼をし、ハザードで気持ちを表すのもいいでしょう。(ハザードのそういう使い方は交通ルールではいけないという人もいますが、クラクションを鳴らすよりは、いい。クラクションは関係のない人まで驚かしてしまいますから)
最近、話題になっている煽り運転などのトラブルも、手を挙げるだけで防げるのでは、と思うこともあり。
車を運転する人は、ハンドルを握った瞬間から自己中心に、しかも強気になりがちです。どんなに良い人でも人が変わりますから。
自分では気づかないでしょうが、皆さん怖い顔してハンドル握ってますよね。
