コンテンツへスキップ
以前、ボランティア活動で、学校のトイレ掃除を手伝うことがあった。
私たちの班は12人くらいで、男子トイレを清掃することになった。
班の参加者全員、簡単な自己紹介をして、それぞれ分担を決めて取り組んだ。
若い人たちが多かった。
中には、海外の人もいた。
私は、小便器の下部の蓋(水越というのかな?)をまとめて取り出し、生徒昇降口の外で、石灰化している部分をドライバーなどで掻いて綺麗にする仕事を受け持った。
班長さんが特別分担場所がなかった人に
「〇○君、蛍光灯を外して掃除してくれないか?」
「はい。」…
ところが、彼は、ずっとそれをやっている。
気が付いた班長さんは
「あっ、〇○君、蛍光灯は、それくらいでいいから、次は換気扇を外して、掃除してくれないかな?」
「はい。」
すると、彼は、ずっとそれをやっていたようだった。…
「この人は、指示されないとできないのか…」
昇降口の外で小便器の下部の蓋(水越?)をやっていた私は、なかなか取れない汚れに手を焼いていた。
すると、近くにいた若者が
「僕もやりますよ。」と手伝ってくれた。
名札を見たら中国の人だった。
日本語が流暢だった。
彼のお陰で綺麗になった。
ホッとしていると、彼は、箒を持ってきて作業した場所を掃き始めた。
「おお、気が利くなあ。ありがとう!」
昼食時、同じ班なので一緒に食べた。
出身地、今の会社などの話ができた。
「この人は、大成するなあ、気づき、意欲、コミュニケーション力…日本人は、負けちゃうぞ。」そう思った。
そして、とある日
自分の会社の宴会の帰り、何人かで「締めにラーメンを食べよう!」ということになり、駅近くのラーメン屋さんに寄った。
「いらっしゃいませ!」と声をかけてくれた店員さんの顔を見て
「ああ、AAさん、掃除を一緒にやったBBですよ。」
「ああ、BBさん、お久しぶりです。」
「AAさん、夜も働いているんだ?」
「ええ、少しでも稼がないと、仕送りもできませんから…」
「偉いね。親のすねばかりかじっている日本の若者とは違うよなあ。」
「みんな同じですよ。」
そして、会計時、お金を払おうとすると「今日は、僕のおごりです。」
「いやー、それはだめ、悪いよ。」
「いいえ、僕のちょっとした気持ちですから…」
また、この好青年のお世話になってしまった。
「じゃあ、また来るからね。」
「はい、気を付けて!」
日本人、中国人、若者、年長者そういう括りで考えず、その人その人の力量だと考えるべきなのだろうが、つい2人を比べてみてしまった。
この日は、温かい気分で家に帰れた。