どの分野にも優れた人物がいます。ずっと前から気になっていた人を今回は取り上げてみました。
「学ぶと遊ぶは一緒」橋本武先生の言葉です。（２０１３年に１０１歳で亡くなられました）
先生は、今でこそ東大合格者数が多いことで有名な灘高校で長年国語の教師として教壇に立っておられました。先生の教え方は、ＴＶや新聞等でも話題になりました。
「一生役立つ学ぶ力」、「すぐ役立つものはすぐ役立たなくなる。」、「学ぶと遊ぶは一緒で楽しくなければならない。」
中１から中３までの三年間、国語の教材は中勘助の「銀の匙」のみ。文中に分からないことがあればすぐに調べさせ、駄菓子や凧などが出てくると実際に作らせたり、知識だけでなく身体で体験させてきました。
文章の表と裏、関連事項など広く、かつ深く学習させる「スローリーディング」。
授業の流れは、通読する→寄り道する→追体験する→徹底的に調べる→自分で考える（各章のタイトル付け→要約→自作の『銀の匙』づくり）の順を追います。
私立だからこそできたと先生は話されますが、公立私立の区別なく、また学校、会社、役所、地域の区別なく、自身が生きているこの社会で「一生役立つ学ぶ力」すなわち「それぞれの目的の達成の仕方であったり、普段の生活での疑問、あるいは教養だったり…」
そのようなことは、各々、方法は違っても追及できるのではないか。本のみならず、ＴＶ、ネット、新聞等、生活上での疑問点を調べたり、実際に作って体験したり、文章にしてみたり、角度を変えて考えたり…。「どの場所でも工夫の仕方は無限にある。」そんな元気を橋本先生から頂きました。
また、先生は数多くの趣味をお持ちですが、
『趣味はあくまで「参加する楽しさ」「興味をもってチャレンジしてみる面白さ」がポイントです。プロの研究や仕事とはわけが違うのですから、突き詰める必要などありません。
どこかで、自分を突き動かしてきた好奇心が満たされれば、さっと手を引く。これも、私流の趣味の楽しみ方なのです』と言ってます。
※何をやっても中途半端な私は、この言葉にも救われました。橋本先生のことは、一言では語れませんので、是非、先生関連の書物や番組など開いてみてはいかがでしょうか？先生の苦労、信念からまた勇気をもらえることでしょう。
参考『灘校・伝説の国語授業：本物の思考力が身につくスローリーディング』（宝島社）
『伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力』（日本実業出版社）
「世界一受けたい授業」（日本テレビ）
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