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パナシ

81,浮かないピンポン球

  皆さんも一緒に考えてみてください。


ビーカーにピンポン球を入れました。ピンポン球は、ビーカーの底の位置で落ち着きます。

 これに水を入れると、どうなりますか?  

 そうです。ピンポン球は、浮いてきます。

 では、この現象を見えるように「見える化」しますよ。

 水の分子モデルとして砂を使います。水の分子(粒子)の集まりを砂に置き換えただけです。

 別のビーカーに入れたピンポン球に、上から砂の粒を入れます。

 水を砂に置き換えたことで間違っていなければピンポン球は浮いてくるはずです。

 では入れます……

 あれ?ピンポン球は浮いてきません。

 なぜですか?

 水の分子(粒子)を砂に置き換えたのは、間違いではありませんよね。なぜ、ピンポン球は浮いてこないんですか?

 これは、中学生に、「物理変化」、「分子・原子」を学習した最後に考えさせる問題として出しています。

「粒が大きすぎる。」「砂が重すぎる。」…どれも正解ではありません。

 なかなか、答えが出てこないので、ヒントとして、用意したマッサージ用のバイブレーターを見せます。すると、何人かは「分かった!」と微笑みます。手を挙げる者もいます。…「はい、タイムアップ。」

 バイブレーターを砂で埋まったピンポン球の入ったビーカーの下に置き、スイッチを入れます。

 揺れるビーカー、揺れる中の砂、ピンポン球は砂の下から上方に上がってきました。

 「分かった!」次々に反応が返ってきます。…理由が出そろったので…

 「そうですね。入れた水は液体ですから分子運動をしているんですね。代わりに入れた砂は動いていませんから-273度(絶対零度)の氷の状態ですね。これでは浮きたくても浮いてこれませんよね。」

 「ああ、そう言われれば…。」と生徒たち。

 「固体、液体、気体の分子(粒子)の状態、お湯の方が水より物が溶けたり、洗濯でもよく落ちること、学習しましたよね。

 この問題は、さらに一歩、更に理解を深めるために出したのですよ。分かりましたか?…

 今度、液体を見たら見えないけれど動いている、そう思ってくださいね。」

 「なるほどなあ、丸覚えの知識だけでは、本当に分かったとは言えないんですね?先生?」

 「そう言うことです。」

 「先生!砂を融かして液体にしたら浮きますよね。」

 「考えとしては正解ですよ。ただ、相当の温度なのでピンポン球は融けてなくなっちゃうでしょうね。」

 「あっ、そうか。」教室に笑いが…。

 
※時間があれば、宿題にして、自分たちでじっくり答えを導かせても良いですね。ただ、そうすると、家では「考える土俵」から降りてしまう生徒も多いですからね。

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海の水たちもみんな分子は揺れているんだ。見えなくて良かった。

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