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「部長、今度の忘年会は、和食でどうでしょうか?」
「いいなあ、今度の会議の後で、みんなに聞いてみたらどうだ?」
「はい、そうします。」
会議中…
「最後に皆さん、今年の忘年会担当からですが、忘年会は、12月21日行います。何か希望はありますか?」…
「じあ、今年は、和食のお店で行こうと思っているんですけれど、どうですか?」
「賛成」
「賛成」
「はい、ありがとうございます。それで進めて、また皆さんにご相談します。」
数日後
「忘年会のお店は、AA屋にしようと思っているんですが、どうでしょうか?」
「ええっ?AA屋は、良くないわ。料理がまずいわよ。AA屋より、BB店の方が良いわよ。」
「そう?BB店は、高いんじゃないの?」
「この前、僕CC家に行ったけど、まあまあだったよ。」
「ええっ?あそこ店員さんが、不愛想だから嫌い。」
「あそこは駅から遠いよ。」…
本会議の内容よりこっちの方が熱が入っている。
「こういうのを総論賛成、各論反対と言うんだろうな。」
「皆さん、色々ご意見は、ありそうですが、参考にさせてもらって、こちらで決めさせてもらいます。」
すると、部長から
「それで進めてくれ!みんなの考えを聞いていたら、一向に決まらないからな…」
「はい、分かりました。決まりましたら部長に相談します。」
「いいよ、これくらいのことなら担当が勝手に進めても…」
「でも、報告・連絡・相談は、大事だと指導されてきたんで…」
「お前なあ、物事の軽重を考えろよ。
仕事では、それは大事だが…。
お前は、それがトンチンカンでいかん!」
「はい、分かりました。」
「頑張れ!将来の社長!」
「いやあ」
「お前はバカか?」
「ああ、ハイ、いいえ」
どの組織、どの会議でも同じだ。報告・連絡・相談しにくい上司、絶対に反対される内容、それでも報告・連絡・相談は必要だ。
『勝手に進めるな』具体的な内容になればなるほど各論が出やすいから、報告・連絡・相談を丁寧にするのが、組織の基本だろうなあ。
TVのニュースで、某大学の大麻問題で理事長、副理事長がお互いをののしりあっている様子が出ていた。
報告・連絡・相談がしっかりとれるワンチームの組織であって欲しいと願っている。
ただ、トップの人は、報告・連絡・相談に足る人であるべきだが…。
信頼がなければ、報告さえしたくないからなあ。そっちの方が問題だな。
「お父さん、今更だけど、子どもの頃に思ってたこと聞いて良い?」
「なんだ?聞いて良いよ。ただし、お父さんが答えられる範囲だぞ。」
「うん、お父さん、夢って何?」
「寝てから見る夢のことかい?」
「うん。僕ね、夢を見るというから、本当にこの目で見えるものだと思っていたんだよ。
おばあちゃんとか、お母さんが、『昨夜、こんな夢見た。』とかいうから、適当に『「夢って、寝てからなんとなく思うこと』かなあぐらいに思っていたんだけど、本当はどうなの?この目では見えないよね?」
「お父さんも、同じように思って調べてみたけど、『これが夢だ』、『夢とはこういうものだ』というのは無いみたいだよ。
古代では神のお告げだとか、現代ではストレスだとかいろいろ言われているけど、定説はないみたいだよ。
『蛇の夢を見たら3日間人にしゃべらないと良いことがある』とか、
『初夢は1富士、2鷹、3茄子』とか言われているけどね。
トイレに行きたくなったらトイレでおしっこしている夢見るというし。
都合の良いように言っているだけだと思うよ。」
「じゃあ、お父さんと僕が同じ蛇の夢を見たとしても、中身は違うんだよね。」
「そうだとも。」
「ああ、よかった。僕ね。ちょっと話が違うかもしれないけれど、友達の望遠鏡でこの前夜一緒に月を見たことがあるんだけど、その時、ちょっと怖くなったんだ。」
「なぜ?」
「だって、この月の今の瞬間を見ているのは僕だけでしょ?友達と同時に見ているわけじゃないし。」
「それがどうしたの?」
「僕が見たときだけ変なことがあって、友達に変わった時には、それが無くなっているってこともあるのかなあ。
そう思うと恐くなったんだよね。うまく言えないけど。」
「それで?」
「この頃、言葉でも『分かった。』と言っても細かく詰めると違うんだと分かったんだよ。
『この料理美味しい』と言っても何が美味しいのか、実は人によって違うってこと。」
「おお凄いじゃないか。お父さんもそれは実感するよ。
今の子供たちにとって経験や思考力が大切だと言われているけど、例えば、全体では皆が賛成でもそれぞれが思っている内容は違うからなあ。
それをもっと詰めようとすると、それぞれの主張が違うから話にならなくなってしまうことよくあるよ。総論賛成、各論反対ってやつだよ。」
「えっ?お父さんもそうなの?」
「人によって、違うんだよ。」
「じゃあ、夢と同じだね。はっきりこの目で見えないから、捉え方が違っちゃうからね。」
「おお、ヒデちゃんもすこし大人になったなあ。」
「お父さん、大人になったって、どういうこと?大きくなったってこと?賢くなったってこと?」
「それは自分で考えなさい。」
「賢くなったってことで良いの?」
「ああ、そういうことだ。」…
お父さんにとっては、まだまだ心配なヒデちゃんでした。