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「おーっ、縄跳びやってんの?」近所の子供たちが広場で縄跳びで遊んでいた。
最初は、怪訝そうな顔でこちらを見ていたが、中の一人の女の子が「そうだよ。おじさん。」と。
「うまいね。楽しそうだね?」
「うん、楽しいよ。」
「おじさんも仲間に入れてくれないかな?」
「ええっ?おじさん、縄跳びの縄は持ってんの?」
「うん、これじゃダメ?」カバンからヌンチャクを取り出してみせると
「ダメだよ。それじゃ。」
「だって、持つところも2つ有るし、紐だって付いているよ。」
「おじさん、分かんないの?紐が短すぎるんだよ。」
「えっ?これじゃ跳べないの?」
「当たり前だよ。跳べないよねえ、みんな!体に合った長さでこうやって跳ぶんだよ。そんなに短かったら両手と紐の間に身体が入らないでしょ?」
「そりゃあそうなんだ。じゃあ、こうやって跳ぶかな?」
ヌンチャクを右手に持ち、垂直に回してそれに合わせて跳んだ。
「おじさん、楽しい?」
「ああ、楽しいよ。」
「でも、なんか変。縄跳びは、縄に引っかからないように跳ぶから楽しいんだよ。おじさんのだと絶対に引っかからないから、つまんないよ。縄跳びのこと知らないのおじさん?」
「そうなんだ。知らなかったよ。」
「おじさんって面白いね。」
「それで喧嘩したり、後ろを見ないで跳んじゃ危ないから、気をつけるんだよ。おじさん聞いている?」
「はは、おじさんは、喧嘩はしないよ。」
「君たちさあ。終わったら、縄跳びの縄はちゃんと結んでおくんだよ。」
「うん、お母さんにも言われた。」
「そうだ、おじさんねえ、今日は、飴を持っているからみんなにあげるね。」
「えっ良いの?みんな来て!」
カバンから取り出し「はい、あげた。」と飴を上に高く掲げると
「そうじゃないの。あげるってことは、くれるってことだよ。」
「そうか。じゃあ一人2個ずつね。」
「わーい!」
「ありがとうごじゃりましゅ。」
「翔ちゃん、ごじゃりましゅじゃないの。ございますだよ。」
「良いではござらぬか?ねえ、翔ちゃん?」
「うん。」
「おじさん、侍なの?」
「拙者か?あはは、気持ちは、侍だ。」
「けど、刀を差していないじゃん?」
「差して持ってるつもりじゃ。」
「おじさんって、本当に面白い人だね。『お主は、何者じゃ?』私まで移っちゃったわ。ははは。」
「小学校に入ったら、英語習うんだってね。うちの犬、英語がうまいんだよ。」
「嘘でしょ?」
「本当だよ、『1は?』と聞くと『ワン』と言うんだよ。」…
「じゃあ、2は?」
「ああ、…今度聞いておくよ。ま、そう言うことだね。」
「翔ちゃん、僕は、何になりたいの?」
「チャチョウ。」
「社長?…そうか、これからは、翔ちゃんを時々『社長』と呼ぶぞ。いいかな?」
「やったー!」
無邪気な子ども達と戯れるのは、本当に楽しいし、すぐ心が通じ合える。
ただ、最近は、不審者と間違えられるから気をつけないと…。
隣の子供に声を掛けたら、不審者だと警察に通報された例もある。
すぐ近くに住んでいてもお互いに顔を知らないから無理もないけど。
それより、一番身近な自分の親の名前や仕事すら知らない子もいると聞く。
もう少し大人と子供が自然に触れあえる社会であるといいなあ。お互いのためにも…
時々そんなことを思う。