コンテンツへスキップ
養鶏場を見学したことがある。すごい数のニワトリが卵を産んでいる。
しかも、ほとんど毎日だ。それが人間の食卓に並ぶ。
ふと思った。
この鳥たちは、何を考えているのだろうか?
「ニワトリたちは、何を考えているんでしょうかね?」養鶏場の人に尋ねてみた。
「えっ?あは、変なこと言う人だね。
こいつらは、何も考えちゃいねえよ。
考えたら卵は、産まなくなるだろうしなあ。
『なぜ、私は、卵を産んでいるんだろうか?』
『卵は、人間にみんな食べられてしまうのだろうか?』
『なぜ、みんなは、文句を言わないの?』…
何も考えないから、いいんじゃないのかい?」
「そうですねえ、何も考えないから、決められたことをせっせとやれるんですね。」
「牛たちだって同じだろう?
犬だってね、『なぜ、俺は、鎖に繋がれているのか?』そんなこと考えたら、大変だよ。」
「私たちもそうですかねえ。何も考えないから、会社員でいられる、何も考えないから兵士でいられる。
…深く考えないから、平穏無事で、気が楽でいられるですかね?」
「考えたらきりがないよ。苦しくなるだけじゃないのか?
ニワトリたちには、適度に餌をやり、競い合わせて、考えさせない、気付かせない。だから、卵が産めるんだよ。違うか?」
「そうですね。考えたら苦しくなるばかりですからね。」
「まったく考えないのもダメだけど、考え過ぎも行けないぞ。」
「そうですね。」
「今日は、頭を開放して、余計なことは一切考えずに寝た方が良いぞ。」