何年も前に、友達から「荘子って知っている?」
「孔子や孫子はなんとなく分かるけど、詳しくは知っていないよ。」
「そうだよな、みんなその程度だと思うけど、荘子も面白いぞ。」
本も勧められ、一応手に入れたが、読む機会がないまま数年が過ぎていた。
部屋の片付けをしていたら、本から語り掛けてきた。
読むほどに引き込まれていった。
掻い摘んでほんの一部を紹介します。
心の自由を説く古代中国の思想家「荘子」 またその著書「荘子」
今からおよそ2300年前に成立したとされる「荘子」は「一切を有るがままに受け入れるところに完全な主体性が確立する。」と説き、のちの禅の形成に大きな影響を与えた。
荘子は個人なのかグループなのか老子や孔子、はたまた孫子などとの関係や違いも知れば知るほど面白い。
荘子は、物事の良し悪しを直球で論ずるのではなく、寓話という形で示し読み手に考えさせています。
言葉で語るのは限界があると知っていたからです。
社会秩序を守るために管理や罰則などに縛られている現在社会、グローバリズムと言っても、欧米的価値観の押しつけだったり、様々な民族や宗教もあり、絶対的に正しというものはない。
「知る者は言わず、言う者は知らず」
天から見れば全てのものは等しく釣り合っている。
言葉には私情が必ずはいる。言葉には限界がある。
言葉を超えた無限の広がりを持つ「道」がある。
孔子は人の道を「道」で示したが、
老子や荘子は人間社会ばかりでなく、宇宙まで広げ、あらゆるものの生成や存在まで含めた「自然科学」的にとらえて「道」としている。
また、「人も物も存在自体に意味がある」と説いている。
達成すべき目標を決めて、それを管理するシステムまでできている現在
「やってもいいけど、命を縮めますよ」と荘子は言うでしょう。
武道でも試合で相手の動きを想定して考えるより、「無心」でいる方が強い。
何も考えていないというのがもっとも速やかに反応できる状態。
「明日できることは今日はやらない」と思わないと休めない。
「役に立た無いと思うものが役に立つ」
価値というものは、市場経済だけでは測れないほどたくさんある。
「自然のままに生きていくこと」
人が考えたものは大して価値がない。等々。
人間社会にだけこだわっていた自分の生き方、物の見方が変えられそうになった。
現代社会で役立つ内容が沢山ありそうに思います。
〇荘子から、広まった言葉
・蝸牛角上の争い(ささいな、つまらない争い)
・胡蝶の夢(自他を区別しない境地、はかない世の喩え)
・朝三暮四(同じ結果なのに、気付かず、目先の差のこだわる)
・鵬程万里(はるか遠い道のり)
・無用の用(役に立たないように見えても、見方を変えると大いに役立つ)
・明鏡止水(一点の曇りもない澄んだ心)
・我未だ木鶏たりえず(相手が挑発しても動じない)双葉山が使用
・大器晩成…「大方は隅なく、大器は晩成し、大音は声かすかにし、大象は形なし」から。
(四角は大きくなると角が見えなくなり、無限の音は聞こえる領域を超え、ものを無限に大きくしていくと、その姿かたちは捉えられなくなる、そして大いなる器は完成するのが遅い)など
参考:NHK100分で名著「荘子」「老子と孫子」 岩波文庫「荘子」中公新書(福永光司著)岩波書店「荘子鶏となって時を告げよ」(中島隆博著)朝日新聞2015・11・23文化文芸欄(宮代栄一編集委員の記事)他