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パナシ

79、電車を止めると

 電車による、人身事故のことが、ニュースで大きく取り上げられたことがありました。
 
ある学校で、先生が、そのことを、授業の前に取り上げ、公共交通機関、特に電車に関連する事故について触れました。
 「自殺、ホームでケンカで落ちる、酔っぱらってふらついてお落ちる、線路に落としたものを拾おうとして降りる、遮断機が下りているのに無理に渡ろうとして、線路に置き石…色々なことで電車が止まる事故が考えられます。
 だが、電車を止めると、その多額の賠償金が本人に、本人が亡くなってる場合は、家族にかかってくるということは知ってた方がよいですよ。
 とにかく、皆さんは、そういう事故を起こさないようにしましょう。多くの人に迷惑をかけますからね…。」
 そんな話をしていたら、
 めぐちゃんが手を挙げて「先生、私、バスを止めちゃったことがあるの、どうしよう?」不安そうな声で言いました。
 「えっ?」みんなめぐちゃんの方を見ました。
 「いつ?どうやって?」先生が聞くと、
 「この前の日曜日。」
 「で、何で止めたの?」
 「私が、バス停に行ったら、バスが目の前で出発しちゃったの。間に合わないから、大きな声で、『待って!』って叫んだら、バスが止まったの。」
 みんなクスクス…。
 「先生、お金、沢山取られますか?お母さんにまだ言ってないんです。」
 みんな抑えきれずに大爆笑。
 「めぐちゃん、大丈夫だと思うよ。タクシーに乗りたい人が手を挙げてタクシー止めても賠償金は取られないだろう?それと同じだよ。それで取られていたら大変だよ。誰もタクシーに乗れないだろう。だから、大丈夫。」
 先生のフォローにめぐちゃんは安心しました。
 「先生、じゃあ、電車や新幹線、飛行機も手を挙げれば、止まってくれますか?」…
 「それは…めぐちゃん、授業が終わってからゆっくり…」…
 めぐちゃんのおかげで、この日のこの後の授業も楽しくできたそうです。

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ダメ、ダメ、手を挙げたって電車は止まらないよ。

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