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ある猿の村での話である。
猿の村にもみんなが集まる集会所がある。そこが新しく、快適な建物になった。みんな喜んだ。
暫く使っていくうちに不満も出てきた。
…各部屋に時計がない、5分前まで部屋に入れない、その日の開催内容や使用団体が分からない、駐車場の仕切りが不鮮明など。
特に「5分前まで部屋に入れない」ことには困った。
今までは、部屋が空いていれば、多少早くても準備の関係等を考慮して入れてくれた。エアコンも早めに入れてくれたり、利用者と施設側との関係も良好であった。
帰り際も「お世話様でした。」「ありがとうございました。」が自然と飛び交っていた。
この日もある猿がちょっと早めに行って、受付をすると受付嬢の猿が「5分前まで入れません」と。
これまで何度も言われてきたので、思わず、「5分前って何時何分ですか?私、時計を持っていないので…、」
「12:55です。」
「ここで待っていていいですか?どの時計を見たらいいんですか?」
「お声掛けします。」…
10分ほど待たされて
「はい、入ってよろしいですよ。鍵をお渡しします。」…
「あのねえ。言いたくないけど、5分前って、決まりがあるんですか?なぜ5分なんですか?6分、10分じゃいけないんですか?」
「決まりはありませんが、皆、共通理解してそうしています。」
「この辺はローカルな場所なので、杓子定規のように5分ピッタリじゃなくてもいいんじゃないの?」
そこへ他の係員がたまたま通りかっかった。
「あっ、この猿のお兄さんは、ねえ、本当によくしてくれて、早めに部屋を開けてくれたり、準備をしてくれたりして、本当に有難いんですよ。」
「いやあ、私も5分前は、同じようにやっていますけど、状況を見て『私なりの5分前』でやらしてもらっています。」
「あなただけだよ。ぴっちり5分前にこだわっているのは…。
あなたは、意地悪が好きなんですね。こういうのを意地悪って言うんですよ。
みんな困っていますよ。カラオケボックスの受付じゃあるまいし、早く入ったっていたずらするわけでもないんだから…」
「じあ、私が悪いんですね?申し訳ございません。」
「おいおい、喧嘩売ってんの?…あのねえ、子どもじゃないんだから、『良いとか悪いとかに括らず』お互いに良い方法を考えた方がいいんじゃないのかな。
『良い、悪い、すみません。』じゃ何の解決にもならないよ。
あなたのやっていることは、規則遵守で決して悪い事ではないけど、もう少しアバウトで幅があってもいいんじゃないですか?『間違いじゃないけど正しくない』そう思いますよ。
私たちもこの施設使わせてもらって本当に感謝していますよ。わくわくした楽しい気持ちでここに来ているんですよ。
それにあなたの柔らかい対応と笑顔があれば、お互いに良い気分になれますよね。
今のままじゃみんな嫌な思いしますよ。
『ちょっと早いけど、良いですよ。』と言われれば『ありがとうございます。』と自然に、あなたに感謝の気持ちが出るじゃないですか。
余計なことだけど、数字や規則を前面に出すと、その曖昧さ突かれたら、泣かされるのは自分ですよ。あなたの猿性、そして幅のある『5分前』で対応した方が良いと思いますよ。」
「…分かりました。…」
周りにいた他の受付猿さんたちも、実は困っていたらしく
「もっと言ってやって!」という応援の声が聞こえたように思いました。
あの受付のお姉さん猿さんは、分かってくれただろうか?
笑顔で対応するだけで変わるのに…。言葉にも温度がある。温かい言葉、冷たい言葉、ましてや職場で指導的立場にいるとしたらなおさらだ。
後で、自信も反省しました。言いたいことは言ったけど、北風対応だけでは、人は動かせないこと。
数日後、ちょっとした手土産を持って「これからも宜しくお願いします。」と太陽的対応をしてきました。
これでみんな笑顔で交流できるかな?
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